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On the Production
by 井口健二
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■クローサー、アナコンダ2、コントロール、シャル・ウィ・ダンス?、さよならさよならハリウッド、オオカミの誘惑
ドなどは、ほとんどが日本版をそのまま再現している。  
確かに、怪獣だけを借りて作った『Godzilla』など
とは違って、物語そのものがリメイクの対象だから、当然と
言えば当然ではあるが、ここまで日本版を尊重して忠実に作
られると、日本人としてはちょっとうれしくなるところだ。
日本版で徳井優が演じたような日本でしか通用しないキャラ
クターは、他のキャラクターに置き換えられてはいるが、展
開上で目立った違いと言ったら、これくらいしか思いつかな
かった。特に日本版の渡辺のキャラクターは、口調まで似せ
ているようにも思えた。                
物語は、日々の仕事に追われ、夢を持てなくなった中年の男
が、ふと目に留めたダンス教室に立ち寄ったことから生き甲
斐を見いだす。しかし、そこには後ろめたさもあり、またそ
れを秘密にしたことから家庭内に波風が立ち始める。   
先にも書いたように物語は日本版の通りだし、それ以上でも
以下でもないが、さすがダンスシーンなどは、元々基礎の入
った人たちが演じるから、日本版以上に見応えのあるシーン
に仕上がっていた。ただそれが良いかと言われると、ちょっ
と悩むところだ。                   
ただしロペスに関しては、ちょっと草刈を意識し過ぎたので
はないかという感じで、印象が薄い。もっとも、草刈は元々
がバレーダンサーで、社交ダンスの先生と言うのはちょっと
辛かったが、その点、ロペスのダンスシーンは見事に演出さ
れていたように見えた。                
なお、原題には「?」が付いておらず、疑問形なのに変に感
じたが、実は1937年製作で、フレッド・アステア、ジンジャ
ー・ロジャース主演の同名の作品があり、その時も「?」は
付されていなかったようだ。因みに、劇中ではアステアのダ
ンスシーンがショウウィンドウのテレビに映されていた。    
またエンドクレジットでは、楽曲‘Shall We Dance’の歌わ
れるミュージカル『王様と私』の作者、ロジャース&ハマー
スタインにも特別の謝辞が掲げられていた。             
                           
『さよならさよならハリウッド』“Hollywood Ending”  
2002年カンヌ映画祭のオープニングを飾ったウッディ・アレ
ン脚本、監督、主演の作品。              
今でも、アメリカでは毎年1作ずつの新作を発表しているア
レンだが、日本での公開は、2001年の『スコルピオンの恋ま
じない』以来、3年ぶりとなる。            
僕は、アレンの作品を脚本も手掛けた1965年の映画デビュー
作『何かいいことないか小猫チャン』の時から見ている。 
その後、72年の『ボギー!俺も男だ』で日本でも知られるよ
うになるが、この時はすでに公開されていた69年の監督デビ
ュー作『泥棒野郎』を探して、場末の3番館まで見に行った
こともある。そして73年の『スリーパー』は試写で見て、記
事も書いたものだ。                  
しかし、77年にアカデミー賞を受賞した『アニー・ホール』
以後は、都会派コメディなどという宣伝文句が性に合わず、
83年の『カメレオンマン』、85年の『カイロの紫のバラ』、
87年の『ラジオデイズ』などのファンタシー系の作品を除い
ては、あまり見なくなっていた。            
つまり僕は、アレンを、元々ちょっと泥くさいコメディアン
として認知していたし、その意味で都会派コメディなどと言
うものに食指が動かなかったものだ。          
それが再び彼の作品を見だしたのは、2000年の『おいしい生
活』からになる。この作品をなぜ見ようと思ったのかは記憶
にないが、強盗を計画しながらクッキー屋になってしまうこ
の作品のどたばたぶりに、久しぶりに嬉しくなったものだ。
そして01年の『スコルピオン…』でも同様のどたばたぶりに
ほっとし、続く本作を待望していた。          

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02月14日(月)
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