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On the Production
by 井口健二
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■Movies−High #5、ザ・キーパー[監禁]、生命(いのち)−希望の贈り物、オーシャンズ12
ブラジル映画の『シティ・オブ・ゴッド』を思い出した。規
模もレベルもまるで次元が違う話だが、あの作品を日本の風
景に合わせると、こうなるのかも知れない。       
写し方にも躍動感があるし、倫理的には不道徳なことを描い
ているのに、納得できてしまうところも良かった。この感性
を大事に育てて行って貰いたいものだ。         
「ブラボー!」                    
カメラマンを目指しているが挫折しかかっている若者が、昔
のアルバイト先のペンキ塗りに応援を求められて、自分を取
り戻して行く物語。                  
有りがちな話だと思うし、今までにも同じような作品は沢山
作られていると思う。でもそれは新人作家にとって登竜門の
様なもので、一度は作っておくべきものかも知れない。  
いろいろな実体験に基づいて、それぞれの個人的な青春物語
がある、そんな感じがした。こういう作品が毎年1本ぐらい
あると良いなあという感じだった。           
「TOILET」                   
ある日突然、父親が家族をトイレに押し込め、外から鍵を掛
ける。そして母親が、一緒に閉じ込められた息子と娘に向か
って驚愕の真実を話し始める。             
今回上映された14本の中では、唯一のSF作品。怪奇や未来
感覚の作品は他にもあるが、SFと呼べるのはこの作品だけ
だった。                       
SF作品では、その中で展開する物語がどれだけ納得できる
かが勝負になるが、その意味でもしっかりとした作品に思え
た。携帯電話を使ったシチュエーションの説明がうまい。 
この種の終末ものでは、『ミステリーゾーン』などにも秀作
があったが、そういった作品も勉強して貰って、次の作品に
期待したいところだ。                 
                           
以上で『Movies−High #5』の紹介を終ります
が、初めて出席したときには正直に言ってアマチュア然とし
た作品も多かったのに、年々作品の内容も向上し、今では毎
回が楽しみです。今後も期待しています。        
                           
以下は、通常通りの試写会で見た作品の紹介です。    
                           
『ザ・キーパー[監禁]』“The Keeper”        
『XXX』のアーシア・アルジェントと、怪優デニス・ホッ
パーの共演で、『スター・トレック/DS9』を手掛けたこ
ともあるジェラルド・サンフォードの脚本を、『プロム・ナ
イト』のポール・リンチが監督したサスペンス作品。   
アルジェントが演じるのはストリップダンサー。ある日、ボ
ーイフレンドといたモーテルの部屋が襲われ、ボーイフレン
ドは殺害、ぎりぎり難を逃れた彼女は警察に保護される。と
ころが、負傷の癒えた彼女を、今度はホッパー扮する警部が
拉致し、自宅に監禁してしまう。            
警部の目的は一つ。彼女を更生させようという気持ちからだ
ったが、そのやり方は、彼女を地下室の檻に閉じ込め、正し
い行いをしたときにポイントを与え、悪いときには奪い、そ
のポイントによって彼女に褒美を与えるという過激なもの。
そのやり方に、最初は反発していた彼女だったが、日が経つ
内に、徐々にその生活に慣らされて行く。そして、ポイント
が溜まって檻から出ることを許され、階上の部屋でワインを
飲ませてもらうまでになって行くが…          
配給会社の宣伝文句は、エロティック・スリラーということ
で、監禁だの陵辱だのという言葉が並ぶが、映画の描写は余
り過激なものではない。むしろ真面目に、サスペンスを展開
している感じだ。                   
また、彼女の行方を捜す若い警官や、警部をストーカーまが

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12月30日(木)
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