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On the Production
by 井口健二
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■第77回
して、その後は警察主催の巡回ショウなどに出演していたよ
うだが、そのショウの最中に心臓発作に見舞われ、そのまま
亡くなったということだ。
という紹介記事だったが、実はスペード・クーリーの名前
をネットで検索しても、ウェスタン歌手としての名声はある
ようだが、3ダース近いという映画関係の情報はほとんど出
てこなかった。
中でかろうじて6本ほど映画のタイトルの紹介されていた
ものがあり、その題名でも調べたのだが、実際に彼が主演し
たという記録はなく、単に映画の中で歌を披露しているとい
った程度。これでロイ・ロジャースと比較されるというのも
不思議な感じだが、取り敢えずクエイドの映画が完成すれば
その辺の事情も判ることになりそうだ。
共演者に、『エイプリルの七面鳥』や“Batman Begins”
にも出ているケイティ・ホームズが、クーリーの妻役で出演
することも発表されている。
それにしても、一時は奇矯な監督の行状を映画化するのが
ブームだったが、最近は悲劇で終わる俳優の足跡を検証する
作品が流行のようになっている。すでに、ボブ・クレインの
伝記映画は先日公開されたが、テレビのスーパーマン役者の
ジョージ・リーブスの生涯を描く計画も発表されているし、
それに加えて今回の作品ということになるが、正直余り明る
い作品になるとも思えず、ちょっと気になるところだ。
* *
またまた、往年のテレビシリーズの映画化で、1964年から
68年まで放送されたパロディ調のスパイシリーズ“The Man
from U.N.C.L.E.”(0011ナポレオン・ソロ)の映画化の計
画が進み始めた。
シリーズの内容は、United Network Command for Low and
Enforcement(略称U.N.C.L.E.)と呼ばれるニューヨークの
下町に秘密本部を持つ国際諜報機関のエージェントで、アメ
リカ人のナポレオン・ソロ(ロバート・ヴォーン)と、ロシ
ア人のイリア・クリアキン(デイヴィット・マッカラム)を
主人公に、彼らが悪の組織=The Technological Hierarchy
for the Removal of Undesirables and the Subjugation of
Humanity(THRUSH)などと闘う姿を描いたもの。
007などのスパイ映画ブームに目を付けたアメリカNB
Cで放送された作品だが、企画の初期には007の原作者イ
アン・フレミングにも相談が持ちかけられたということで、
それなりに正統派で企画された作品。ただしテレビシリーズ
ではセクシャルな表現などが制限されるために、それに替っ
てユーモアタッチが強調され、結果パロディ調の作品になっ
てはいるが、基本的な路線はかなりまともなスパイアクショ
ンだった。
また、アメリカ人らしくちょっといい加減で女に目が無い
ソロと、生真面目なクリアキンのキャラクターのコントラス
トも絶妙で、さらには万年筆型の通信機器(衛星回線を使用
する)などのテクニカルな設定も面白く、日本でもすでに洋
画ブームの去ったこの時期に、視聴率が連続して20位以内に
入るほどの人気番組だった。
そして、このシリーズの映画化については、以前からいろ
いろ情報が流されていたものだが、今回はついにと言うか、
ようやく映画化の監督の名前が報道されたもので、その監督
にイギリスのマシュー・ヴォーンの起用が発表されている。
ヴォーンは、ガイ・リッチー監督の盟友で、同監督の『ロ
ック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』などの
プロデューサーを務めていた人物だが、2004年10月にアメリ
カ公開された“Layer Cake”という作品で監督業に進出。そ
れに続く作品として、今回の起用が発表されているものだ。
因にヴォーンは、子供の頃からのオリジナルシリーズのファ
ンを自称しており、昔は主役のロバート・ヴォーンと同姓で
あることから、血の繋がりがあると思い込んでいたそうだ。
と言うことで、こういう思い入れのある監督がこの種の作
品に起用されるのは大歓迎だが、監督のデビュー作はロンド
ン暗黒街が舞台の麻薬絡みのクライム・スリラーのようで、
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12月15日(水)
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