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On the Production
by 井口健二
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■きみに読む物語、照明熊谷学校、永遠のハバナ、戦争のはじめかた、ネオ・ファンタジア、シャーク・テイル
のだが、これが何とも最初から死人の続出でかなりブラック
な物語。しかも、その死は全て服務中の名誉の死として処理
される。                       
原作者のオコナーは、軍隊経験も、ドラッグ経験も、ドイツ
を訪れたこともないということだが、この作品は取材に基づ
いた真実の物語だと言う。また映画化にあたって監督らが行
った調査でも、真実の裏づけが取れたという。      
「平和なとき、戦争は自らと戦争する」ニーチェの言葉だそ
うだが、その通りの愚かな軍人の姿が描かれる。9月11日以
降のアメリカで糾弾されたのも頷ける作品だ。しかし糾弾し
なければならないほど、ここには真実が描かれているという
ことなのだろう。                   
そして、こういう連中を支援するために、「思いやり予算」
があるということだ。                 
                           
『ネオ・ファンタジア』“Allegro non Troppo”     
1976年にイタリアで製作されたオムニバスアニメーション。
クラシック音楽をモティーフにした6本の短編と、プロロー
グ、エピローグ、及び各短編の間を繋ぐ実写のシーンとから
構成される。                     
クラシック音楽は、『牧神の午後のための前奏曲』『スラヴ
舞曲第7番』『ボレロ』『悲しみのワルツ』『ヴァイオリン
協奏曲ハ長調』『火の鳥』の6曲。           
当然『ファンタジア』から想を得たものだが、本作にはディ
ズニーとは違ってかなり毒がある。その毒の具合が滅法面白
く、大人の楽しめる作品になっているというものだ。   
またディズニー作品では、それなりに統一されたイメージが
あったが、本作では各曲ごとに、セルやクレイも使って全く
違うイメージのアニメーションが展開される。オーソドック
スなものや実験的なものもあり、いろいろ楽しめた。   
実は、1980年に一度日本公開されており、その当時に見てい
るはずだが、全く記憶から抜けていた。見直してそれなりに
思い出したところもあったが、全部ではなく、おかげで新鮮
に見られたものだ。                  
その感想としては、今見ても全く古びたところが無く、却っ
て24年前より今のほうがマッチするのではないかと思ったほ
どだ。特にポスターにもなる『悲しみの…』の猫などは、今
時のアイドルキャラとしても充分通用する感じだ。    
また、『スラヴ…』や『火の鳥』の文明風刺の部分が、今も
通用することにも感心した。逆に、当時は感動したはずのS
F的な『ボレロ』が、今見るとちょっと物足りない感じがし
た。SFの難しさがここにあるという感じだ。      
上映時間は85分。試写は本編だけの上映だったが、1月2日
からの一般公開では、本作と同じブルーノ・ポツェットの監
督による短編が同時上映されるようだ。         
                           
『シャーク・テイル』“Shark Tale”          
今春『シュレック2』を公開したばかりのドリームワークス
・アニメーションが製作した最新作。アメリカでは10月1日
に公開され、3週連続の興行成績第1位を記録した。   
珊瑚礁の海の海底の物語。そこには沢山の小魚たちの住む街
が広がり、人間社会と同じような生活が営まれている。ただ
問題は、時々現れては小魚たちを捕食するサメの存在。サメ
が現れるとサメ警報が発せられ、小魚たちは姿を隠さなけれ
ばならない。                     
ところがある日、1匹の小魚が凶暴なサメを倒してしまう。
それは偶然の作用によるものだったが、彼は自分の活躍を調
子よく吹聴し、そのため一躍英雄となる。そして…    
この小魚の主人公の声をウィル・スミス、そのガールフレン
ドをレネー・ゼルウィガー(本作からレネーという表記にな

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11月30日(火)
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