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On the Production
by 井口健二
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■第75回
いると思われるが、とは言うものの、特にストップモーショ
ンアニメーションは、ディズニーのアニメーター出身だった
ティム・バートンですら、『ナイトメア・ビフォア・クリス
マス』の企画した際に、直接監督はしなかったというくらい
のもので、これをどこまで本気で作れるのか、ちょっと注目
してみたいところだ。
        *         *
 2001年の『ハンニバル』に続いて、2002年に『レッド・ド
ラゴン』が映画化された『ハンニバル・レクター』シリーズ
の最新作で、来年秋に出版が予定されているトマス・ハリス
の新作“Behind the Mask”の映画化計画が、製作者のディ
ノ&マーサ・デ・ラウレンティスから発表されている。
 その発表によると、この新作は、レクターの若き日を描く
もので、リトアニア生まれの少年が、第2次大戦中の悲劇か
ら残忍な殺人鬼になって行く姿が描かれている。そして、そ
の映画化では、脚本を原作者のハリス自身が執筆し、監督を
『真珠の耳飾りの少女』のピーター・ウェッバーが担当する
ということだ。
 なお、ハリスは著作への影響を恐れて『羊たちの沈黙』の
映画化を見ることも避けたと言われているが、今回は古くか
らの友人であるディノ・デ・ラウレンティスの説得で脚本の
執筆に応じ、その脚本は、一読したウェッバーが直ちに監督
を了承するほどの出来映えだったそうだ。
 また、脚本の内容は豊富で、2部作とする可能性もあると
いうことで、その場合には、レクター少年がフランスに移住
し、そしてフランスを脱出するまでを第1部とし、その後の
アメリカでの行動を第2部とすることになるようだ。
 製作者と監督は、近日中にリトアニアとチェコ、フランス
でのロケハンを開始し、同時にキャスティングも開始すると
いうことだが、今回の主演はさすがにアンソニー・ホプキン
スとは行かないもので、レクター役の選考が重要になる。因
に、レクター役には3つの世代の若い俳優が必要ということ
だが、成長してホプキンスのような風貌になることも考慮し
なければいけないだろうし、ホプキンス並とは行かなくても
それなりの存在感も要求される訳で、このキャスティングは
結構大変になりそうだ。
 公開は2006年夏。配給権はユニヴァーサルとMGMがシェ
アしているということだが、日本はどうなるのだろうか。
        *         *
 007シリーズの次回作への出演拒否が話題になっている
ピアーズ・ブロスナンの計画で、1999年に公開された『トー
マス・クラウン・アフェアー』の続編に出演することが発表
された。
 この作品は、元々は1968年にスティーヴ・マックィーン、
フェイ・ダナウェイ共演、ノーマ・ジュイスン監督で映画化
された『華麗なる賭け』(原題The Thomas Crown Affair)
をリメイクしたもので、ブロスナンはこのリメイクの主演と
共に製作も務めていた。そして興行的にも成功したこの作品
には、早い時期から続編が打診されたということだが、ブロ
スナン側では当時は続編を作る意志はなかったそうだ。
 その理由は、当時は続編にする題材が見つからなかったと
いうことだったが、今回はその題材が見つかったようだ。
 その続編は、“The Topkapi Affair”と題されているもの
で、1964年に公開されたMGM映画『トプカピ』の要素が取
り入れられるというもの。64年作は難攻不落のトルコ・イス
タンブールのトプカピ宮殿に所蔵された宝物を、メリナ・メ
ルクーリ扮する女盗賊を中心とした一味が大胆不敵な手口で
盗み出すというお話で、共演のピーター・ユスティノフがオ
スカーの助演賞を受賞している。
 そして今回は、この作品からヒントを得て考えられたもの
で、当然トーマス・クラウンが狙うのはトプカピ宮殿の宝物
ということになりそうだが、映画化は、64年作の単なるリメ
イクではなく、映画の元となったエリック・アンブラーの原
作“The Light of the Day”にも基づくとされていて、ハー
レイ・ペイトンによる新たな脚本が執筆されている。

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11月15日(月)
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