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On the Production
by 井口健二
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■ポーラー・エクスプレス、Mr.インクレディブル、ふたりにクギづけ、プリティ・プリンセス2−ロイヤル・ウェディング、ネバーランド
“The Princess Diaries 2: Royal Engagement”
2001年に公開されたメグ・キャボット原作の少女小説の映画
化の続編。前作で、ロサンゼルスの女子高生から、突如ヨー
ロッパの小王国の王女になった主人公が、今度はその国の女
王の座に挑戦する。
プリンセス・ミアは21歳の誕生日を迎え、女王の座に着ける
ようになる。そこで現女王の祖母クラリスは退位して、ミア
に女王の座を譲ろうとしたのだが…誰もいないと思われてい
た王位継承者がもう一人いたことが判明。しかもそれは、王
国の政権奪取を狙う子爵の甥だった。
一方、女王となるためには結婚が条件であることが王国の法
の定めであり、その結婚式は30日以内に行われなければなら
ないことになる。こうして花婿捜しが始まり、選ばれた理想
的なイギリス青年との結婚式の日取りも決定するが…
『プリティ・ウーマン』の大ヒットを生み出したゲイリー・
マーシャル監督が前作に引き続き監督を担当。ミア役のアン
・ハサウェイ、女王役のジュリー・アンドリュースを始め、
前作の登場人物もそのまま引き継がれている。
マーシャル監督はソフィスティケートされたコメディでは抜
群の力を発揮するが、本作の開幕の部分で、ちょっとドタバ
タコメディ調に進行する部分は少しリズムが合わないように
も感じた。しかしそれも発端だけで、本編が始まれば笑いあ
り、感動ありの見事なコメディが展開する。
物語も、若年向けのロマンティックコメディにしては、政権
争いといった政治的なものもそれなりに描けていて、大人の
目で見てもそれなりに面白くなっている。その点で、続編を
作るだけの価値はあったという感じだ。
そしてもう一つの目玉は、劇中でのアンドリュースの歌声。
喉の病気とかで歌は歌えないということだったが…確かに往
年の朗々と歌うという感じではないし、若い歌手の応援を得
たりはしているものの、『メリー・ポピンズ』や『サウンド
・オブ・ミュージック』のマリア先生を思い出させる優しい
歌声には、思わず涙してしまうところだった。
『ネバーランド』“Finding Neverland”
ジェームズ・M・バリが『ピーター・パン』を書くに至った
経緯を、事実に基づいて描いたとされる戯曲“The Man Who
Was Peter Pan”の映画化。
『チョコレート』でハリー・べリーにオスカーをもたらした
マーク・フォースターが監督した。
1903年、ロンドンのデューク・オブ・ヨーク劇場。上演され
たバリの新作戯曲は評判が芳しくなく、興行主のフローマン
は次の戯曲の執筆を要求する。そして翌日、犬の散歩でケン
ジントン公園を訪れたバリは4人の息子を連れた未亡人シル
ヴィアと出会う。
その子供たちの中でも、父親の死で大きな心の傷を負ったピ
ーターが気になるバリは、翌日もその場所で会うことを約束
し、徐々に子供達を支援する行動に動き出す。しかし、美し
い未亡人の家に出入りするバリの姿は噂の種となって行く。
またシルヴィアの母親も、妻のいるバリが傍に寄ることは、
娘の再婚の妨げになるとバリを拒否するが…その時すでにシ
ルヴィアの身体は病魔に侵されていた。そして、1904年12月
27日子供たちの心を癒すために書かれた戯曲『ピーター・パ
ン』が上演される。
事実はもっとどろどろしたものだったようだが、映画は未亡
人との関係より、バリと少年ピーターとの心の交流を主題に
して、喪失の悲しみを乗り越えて行く力の偉大さを描く。そ
の点で『チョコレート』の監督が手掛けた理由が判るような
気がした。
出演は、バリにジョニー・デップ、未亡人にケイト・ウィン
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11月14日(日)
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