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On the Production
by 井口健二
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■第17回東京国際映画祭(コンペティション+アジアの風)
は小室哲哉が参加して、KEIKOが歌うエンディング曲も
提供している。
ところで映画の中でパオペイについて、「愛称は山口百恵だ
った」というせりふがあり、多分中国語でもそうなのだろう
が、これが英語の字幕では、「Audrey Hepburn」となってい
て、なるほどという感じがした。
『可能なる変化たち』
「アジアの風」部門で最優秀アジア映画賞を獲得した作品。
韓国での脚本コンテストの受賞作の映画化ということで、前
評判はかなり高かった。実際受賞も果たした訳だから、その
評価も妥当ということだろうが、僕にはあまり感心できる作
品ではなかった。
30代半ば男2人が、生活に飽きてアバンチュールを楽しもう
と決意する。そして、一人はネットで知り合った女性を呼び
出し、もう一人は学生時代の後輩を呼び出す。こうして望み
通りのアバンチュールがスタートするのだが…
最近の韓国映画なので、ベッドシーンはかなり過激に描かれ
る。ただし、今まで紹介された作品では、それなりに意味を
持った描き方だったと理解していたこれらのシーンだが、こ
の作品で全くの願望充足でしかない。
映画全体がつまらないと言うか、何の意味もなさないばかば
かしさに終始しており、不快さだけが残る感じだった。確か
に世間がどんどん不条理になって行く中で、この不快さを映
画の価値と捉える向きもあるのだろうが、僕はそのような価
値観には賛同しない。
『見知らぬ女からの手紙』
1948年にジョーン・フォンテインの主演で映画化された作品
(邦題『忘れじの面影』)のリメイク。1997年公開の『スパ
イシー・ラブスープ』などの主演女優シュー・ジンレイの脚
本・監督・主演による作品。
本作の舞台は1949年の北京。作家の男の許に1通の手紙が届
く。そこには18年前に彼と巡り合い、その後も何度も顔合せ
ながら、彼に自分の思いを伝えられなかった一人の女性の生
涯が綴られていた。
彼女は、彼の子を身籠もりながらもその事実さえも伝えず、
男の目には彼女の面影すらも残っていない。
ジンレイは1974年生まれだそうだが、18年間という長い年月
に渡るこれだけの物語を見事に描き切っている。実際、これ
だけの期間に渡る物語の時代背景の把握なども容易ではなか
ったはずだが、この脚本までも手掛けているというのは大変
なことだ。
97年の主演作は見ており、コメディ調の青春映画だったと記
憶している。本作はジンレイの監督第2作のようだが、これ
からも期待して見ていきたいと思わせた。
『美しい洗濯機』
思い通りに動かない洗濯機を巡って描かれるちょっとファン
タスティックな作品。
主人公は、販売店で一目見て気に入った中古の洗濯機を買っ
てしまう。しかしその洗濯機は途中で動かなくなり、修理を
依頼するにもメーカーでは保証期間切れで、販売店も取り合
ってくれない。
ところがある深夜、洗濯機のそばに一人の女性が現れる。そ
して女性は、かいがいしく手で洗濯を始めるのだが…
これだけ書くと、洗濯機に宿った精霊が登場するファンタシ
ーという感じだが、この後は殺人事件が起ったり、いろいろ
殺伐としたムードになってしまう。かと言ってホラー仕立て
という訳でもないし、何とも中途半端な作品だった。
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11月06日(土)
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