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On the Production
by 井口健二
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■オーバー・ザ・レインボー、ボン・ヴォヤージュ、スカイキャプテン、エメラルド・カウボーイ、エクソシスト・ビギニング
いる。本作でもCGI多用の作品を見事にまとめ上げた監督
の手腕に期待したい。
『エメラルド・カウボーイ』“Emerald Cowboy”
南米のコロムビアでエメラルド王と呼ばれるまでになった日
本人、早田英志の自伝を基に作られたセミドキュメンタリー
作品。
早田は、この映画の製作総指揮、脚本、共同監督にも名を連
ねていて、功なり名を遂げた男が自画自賛の映画を作ったと
いうところだが、映画ではエメラルド取り引きの実態なども
描かれていて、予想以上に面白い作品だった。
1940年生まれの早田は、東京教育大学を卒業後にアメリカに
渡り、さらに30代でコロムビアに移住、Esmeralderoと呼ば
れる原石取引業者を振り出しに、現在はエメラルド鉱山、輸
出会社、警備会社なども経営しているということだ。
しかし常に10人以上のボディガードに周囲を固めさせ、自ら
も9mmの拳銃を腰に挿して、過去には4回ほど身を守るため
に撃ったこともあると言う。中で本人も語っているが、正し
く開拓時代のアメリカ西部。そこに憧れ、そして暮らしてい
る男の物語だ。
多分、本当はもっと汚いこともしていたのだろうが、映画で
は比較的きれいごとの部分しか描かれない。その辺の物足り
なさは拭えないが、それは自伝映画では仕方のないこととし
て、全体的には興味深く見られた作品だった。
『エクソシスト・ビギニング』
“Exorcist: The Beginning”
1973年に公開され、センセーションを巻き起こした『エクソ
シスト』から30年経って映画化された、オリジナルの25年前
の物語。
30年前の映画の巻頭で、アフリカの砂漠での遺跡発掘のシー
ンが描かれるが、本編では、その発掘現場で起きた物語の全
容が明らかにされる。
オリジナルでマックス・フォン・シドーが演じ、本作ではス
テラン・スカルスゲードが演じるメリン神父は、オランダ人
で第2次大戦中のナチの侵攻下、助けを求めてきたユダヤ人
を救えなかったことが原因で信仰を捨てたとされる。
そして考古学者となって世界の遺跡を発掘して歩く内、ケニ
アで5世紀に建設された教会の発掘に立ち会う。そこへは謎
の男の指示で向かったものだが、歴史的には存在しないはず
の教会は完成直後に埋められたと推定され、怪しげな雰囲気
が漂っていた。
この教会に潜む謎を、現地の少年や、『007/ゴールデン
アイ』でロシア人コンピュータ技師を演じたイザベラ・スコ
ルプコ扮する女医らと共に明かして行くというものだ。
完成直後に埋められた教会という設定は、最近別の映画でも
あったと思うが、邪悪なものを封じ込めておく手段としてキ
リスト教関係ではよくやることなのだろうか。だったら、も
う少し慎重に事を運んでもいいようなものだが…。
因に、今回公開される作品はレニー・ハーリン監督によるも
のだが、実はこの作品の製作では、ポール・シュレイダー監
督で一旦完成された作品が、衝撃度が足りないとして全面キ
ャンセルされ、ハーリン監督で撮り直された経緯がある。
このシュレイダー版もアメリカではDVD発表されるという
情報もあり、両監督の作風を比較できる楽しみが期待されて
いるものだが、現状でハーリン版を見ただけの感じでは、ハ
ーリンも余りおどろおどろしさを演出しているようには思え
ず、結構ストレートな物語になっていた。さてシュレーダー
版はどうなのだろうか。
10月13日(水)
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