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On the Production
by 井口健二
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■Movie Box−ing、爆裂都市、薄桜記、ブエノスアイレスの夜、トリコロールに燃えて、2046
する。                        
そんな彼女と共に暮らしたアイルランド人のガイとスペイン
女性のミアは、彼女の奔放さに振り回されながらも、共に彼
女を愛し続けていた。しかし2人はスペイン内乱の支援に向
い、パリはナチの侵攻を受ける。そんな中でも、彼女は奔放
に生き続けるのだが…。                
共演は、ガイに、セロンの実生活のパートナーでもあるスチ
ュアート・タウンゼントと、ミアにペネロペ・クルス。  
映画は主にカナダで撮影されているが、ディジタル合成によ
って、戦前のパリが見事に再現され、空にはプロペラ機が旋
回するなど、その雰囲気が素晴らしかった。       
また、ギルダがフランス人の父親とアメリカ人の母親という
設定で、彼女は英語とフランス語を話し、スペイン内乱のシ
ーンではスペイン語、さらにナチ将校はドイツ語と、基本は
英語の作品だが、各国語が飛び交うのも心地よかった。  
なおセロンは、オスカーを受賞した『モンスター』の次の作
品ということになるが、前作では13kg増やしたという体重を
減量し、特に巻頭では20歳前後の役ということで愛らしく登
場してみせたのは見事。                
しかし映画の中で何回か見せる険しい顔が、『モンスター』
を思い出させたのはショックだった。僕が前作を見てから間
なしなので、記憶が鮮明なこともあるのだろうが、それだけ
前作が強烈だったということもある。『モンスター』という
作品が、それだけのリスクを持った作品だったことも改めて
理解できた。                     

『2046』“2046”                 
2000年に撮影が開始されるも、中断。そして昨年突如撮影が
再開され、今年のカンヌ映画祭に招待されたものの、編集の
遅れによってプレス試写のないまま本上映が行われるなどし
て話題を撒いたウォン・カーウァイ監督の最新作。    
題名の2046とは、1997年に本土返還された香港が、50年間は
現体制が維持されるとした約束の期限の年号。      
しかし映画の物語は1960年代を背景とし、2046は、トニー・
レオン扮するその時代に生きる主人公が書く未来小説の題名
でもあり、その小説の中では、人々が夢見る場所の番地でも
ある。そして主人公が住もうとし、ある女性が住むアパート
の部屋の番号も2046。                 
物語は、主人公が愛した、または愛そうとした複数の女性た
ちとの関係が綴られる。同時に、木村拓哉扮する日本人男性
とアパートの経営者の娘の中国人女性との恋も語られる。そ
して主人公が執筆する未来小説の世界も描かれる。    
映画をシンプルに見れば、何人もの女性を愛しながらも真実
の愛を求めようとする男の物語。しかし木村が演じる小説の
主人公が、作家を演じるレオンとダブリ始める辺りから、現
実と小説が交錯し、不思議な世界を構築され始める。   
とは言うものの、それが本当に監督によって意図された物語
かどうか、僕が勝手に勘繰っているだけなのかも知れない。
いずれにしても、もう1回見て確認したくなる映画だ。  
なお撮影は約5年のブランクを置いて行われた訳だが、木村
は微妙に風貌が変っているのが見えて面白かった。もっとも
映画の中でも数年が経ったという設定になっている。   
これに対して、木村の相手役のフェイ・ウォンは、後半はア
ンドロイドという設定で化粧によっても変化が隠されたよう
だ。一方、レオンの相手役のチャン・ツィイーは全然変らな
いが、これは恐らく再開後のみの出演なのだろう。    
しかし、両方で出演したはずのレオンやコン・リーは全く変
化が判らなかった。多分、年齢的なものもあるのだろうが、
大したものだと思った。                

09月30日(木)
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