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On the Production
by 井口健二
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■第69回
 日本でもベストセラーになった『かもめのジョナサン』で
有名なリチャード・バック原作で、こちらも全米で1500万部
のベストセラーを記録した“Illusions: The Adventures of
a Reluctant Messiah”(イリュージョン)の映画化権を、
『タイタニック』などのVFX製作会社のディジタル・ドメ
インが獲得したことが発表された。
 同社は、日本では今年公開された『ウォルター少年と夏の
休日』で劇場映画製作に進出したが、本作はそれに続く作品
になりそうだ。監督には“Love Me If You Dare”という作
品がパラマウント・クラシックスから公開されたばかりのフ
ランス監督ヤン・サミュエルの起用も発表されている。
 物語は、アマチュアパイロットの主人公とメシアを名乗る
男との出会いを描いたファンタスティックなもので、同社の
VFX技術を発揮した作品が期待される。因にバック原作の
『かもめのジョナサン』も1973年に映画化されているが、こ
のときはカモメの視点で撮影された浮遊感あふれる映像に、
ジェームズ・フランシスカスらの台詞が乗せられるという一
風変った作品に仕上げられていた。
 なお今回の製作は、バーネット・ベインという製作者との
共同で行われるが、ベインは1998年にドメイン社が視覚効果
賞のオスカーを受賞した『奇跡の輝き』の製作者でもある。
またドメイン社とベインではこの他にも、ダン・シモンズ原
作のSFシリーズで、“Ilium”と“Olympos”という作品の
映画化も企画しているそうだ。
 因にドメイン社のVFXの近作は、フォックス製作『アイ
ロボット』になるようだ。
        *         *
 またまたヴィデオゲームからの映画化で、“BloodRayne”
という作品が、ドイツのウーワ・ボールという監督の下で進
められることになり、この作品に、『サンダーバード』のベ
ン・キングズレーと、『T3』のクリスティーナ・ロケン、
そして『バイオハザード』のミシェル・ロドリゲスの出演が
発表されている。
 ゲームのオリジナルは、1930年代のナチス統制下のドイツ
を舞台にしたもので、人間と吸血鬼のハーフという境遇に生
まれたヒロインが、アンデッドの軍団を組織して人類征服を
目論む父親の野望を阻止するため活躍するというお話。  
 しかし映画化では、全体の物語は同じだが、設定が変更さ
れ、18世紀のトランシルヴァニアを舞台に、近代兵器や飛行
機、自動車もない状況で、ヒロインの活躍を描くということ
だ。そしてこのヒロインをロケン、父親をキングズレー、さ
らにヒロインの親友で人間の女性をロドリゲスが演じること
になっている。脚本は、『アメリカン・サイコ』などのグネ
ヴィア・ターナーが担当。
 人間と吸血鬼のハーフというのは『ブレイド』の設定にあ
るし、吸血鬼ヒロインも『アンダーワールド』の設定だが、
監督は今回の映画化では舞台背景を近代以前の世界にして、
よりシンプルに物語を作り上げたいようだ。そのためには、
18世紀のトランシルヴァニアは最高の舞台だとしている。 
 なお監督は、本作の製作総指揮も兼ねているが、実は個人
で4700万ドルの映画基金を設立して、すでにアタリのゲーム
に基づく“Alone in the Dark”と、セガのゲームに基づく
“House of the Dead”の映画化にも資金を提供していると
いうことだ。またこの基金はさらに拡充され、監督自身の次
回作で、やはりゲームに基づく“Hunter: The Reckoning”
の映画化も進めることになっている。
 また、この作品はドイツ映画ということになるようだが、
クリスティーナ・ロケンは昨年12月1日付の第52回で紹介し
たドイツ映画“The Ring Cycle”(ニーベルンゲンの指輪)
にもブリュンヒルト役で出演している。そしてこの作品は、
すでに完成して“Kingdom in Twilight”の題名でアメリカ
公開がされるようだ。
        *         *
 ヴィデオゲームの次ぎはおもちゃの話題で、1980年代に一
世を風靡した変身おもちゃ“Transformer”を実写映画化す

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08月15日(日)
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