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On the Production
by 井口健二
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■第68回
クルーズの後ろ楯があろうとも、かなり厳しいのではないか
という心配は最初からささやかれていた。
しかも、今回の製作では、春先から開始される計画だった
撮影が遅れ、配給担当のパラマウントは、公開を当初予定の
2005年5月6日から、7週間遅らせて6月29日にするなどし
たものの、製作スケジュールが極めてタイトなものになるこ
とは明らかになってきていた。
その状況で監督の降板となったものだが、これは新人監督
の立場としては、ある意味仕方なかったという感じもする。
なお、カーナハンには、パラマウント/ドリームワークス共
同製作による犯罪ドラマ“Killing Pablo”や、ユニヴァー
サル製作の“Void”などの計画も進められており、今後はそ
ちらで頑張ってもらいたいものだ。
という状況だが、実は本作の製作では、すでに脚本はフラ
ンク・ダラボン、ダン・ギルロイによるものが決定され、配
役も、クルーズの他に、ヴィング・レイム、キャリー=アン
・モス、ケネス・ブラナー、スカーレット・ヨハンソンが契
約済み、さらに製作スケジュールでは、今月8月4日にプラ
ハ、ベルリンなどで撮影開始と発表されている。
となると、これを引き継げるのは相当に修羅場に強い監督
になりそうだが、噂では、テレビで“Alias”というスパイ
シリーズを手掛けるJ.J.エイブラムスの名前も挙がって
いるようだ。この名前は、“Superman”の脚本家としてすで
にお馴染みになっているが、果たしてこの修羅場を乗り切れ
るものかどうか。場合によっては、クルーズの監督兼任も面
白いと思うのだが。
* *
2002年の“Stolen Summer”(夏休みのレモネード)に続
いて、昨年は“The Battle of Shaker Heights”という作品
が製作されたベン・アフレック、マット・デイモン主催の新
人発掘イヴェント=プロジェクト・グリーンライトの第3回
が行われ、初めてホラー作品の選出が発表された。
選出された作品は“Feast”という題名のもので、パトリ
ック・メルトンとマーカス・ダンストンの共作による作品。
内容は、過去の数多のホラー作品の中から、ステレオタイプ
のキャラクターとシチュエーションを借りまくってパロディ
化し、それを息もつかせぬ勢いでまとめ上げた作品というこ
とで、スプラッタホラーの最高作といわれるサム・ライミ監
督の“Evil Dead 2”(死霊のはらわたII)を髣髴とさせる
ものになっているということだ。
なおこの脚本、興味のある方には、Project Greenlightの
公式ウェブサイトで読むことができるようになっている。
そして映画の製作に当っては、第2回からは併催されてい
る短編映画部門の受賞者が監督する決まりになったようで、
今回は、俳優でカメラマンでもあるというジョン・ガラガー
が監督を担当する。さらに製作者として『エルム街の悪夢』
や『スクリーム』の監督のウェス・クレイヴンが参加して、
映画作りの全般の指導に当るということだ。
完成作品は、商業映画としてミラマックスで配給も行われ
るものだから、アマチュアの映画製作とは規模も全く違った
ものになるが、これを、クレイヴンらがしっかりとサポート
するというのもうれしいところだ。
因に、今回の選考で最終選考には3本がエントリーされて
おり、後の2本は、リック・カー応募の“Does Anyone Here
Remember When Hanz Gubenstein Invented Time Travel?”
というタイムトラヴェルコメディと、マーシャル・モスリー
が応募した“Wildcard”という犯罪ものだった。今回、この
2本は選から漏れた訳だが、最終選考の3作では、それぞれ
プロのアドヴァイスに基づくリライトも行われており、脚本
としては完成されているようなので、いつかはこれらの作品
も陽の目を見ることを期待したいものだ。
* *
今回は“Basic Instinct 2”の情報から始めたが、この他
にも続編の計画がいろいろ発表されている。後半は、それら
をまとめて紹介しよう。
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08月01日(日)
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