ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459977hit]
■LOVERS、珈琲時光、リディック、アラモ、最狂絶叫計画、ティラミス、お父さんのバックドロップ
実際、圧倒的なサンタアナ軍の前でアラモを守るなんてこと
は無謀だった訳で、でもやらなければならなかったことで、
しかもその結果は、これで勢いづいたサンタアナ軍を自滅に
追い込み、テキサス独立を成し遂げる。歴史とはそんなもの
だということだろう。
アラモはどうしても愛国心の発露のように捉えられるし、こ
の映画では両軍に別れて戦ったメキシコ人の存在や、奴隷の
存在なども描かれるが、結局反戦という思想には至らない。
つまり、この映画の撮影当時のイラク侵攻当初、勝ち戦の中
のアメリカでは格好の題材だったと言える。
しかしこの映画で、圧倒的な武力を誇るのはメキシコ軍であ
り、テキサス(アメリカ)は侵攻される側、そしてそのメキ
シコ軍は結局敗北することになるという、かなり皮肉な展開
が待ち受ける。従ってイラク侵攻が勝ち戦のまま進んでいれ
ば、それに対する批判にもなったかも知れない。
だが、現実のイラク侵攻が批判の的となっている状況では、
この映画は愛国心を高揚させようという目的にしか見て取れ
なくなる。これも皮肉な結果としか言いようがない。
ソーントン演じるクロケットが、結構ひょうきんで愛すべき
人物だったり、デニス・クエイド演じるサミュエル・ヒュー
ストン将軍がしっかりした戦略を持っていたり、なるほどと
思える描き方も多く、歴史ドラマとしては面白かった。特に
ソーントンは、多分頬に含み綿を入れて風貌まで変えての出
演で、良い感じだった。
『最狂絶叫計画』“Scary Movie 3”
2000年と2001年にそれぞれキーネン・アイヴォリ・ウェイア
ンス監督によって発表されたホラーパロディシリーズの第3
弾。
ただし今回は、前作までの監督と、脚本を担当したマーロン
&ショーンを含むウェイアンス一家は映画会社との契約切れ
のため参加しておらず、替って監督を、『裸の銃(ガン)を
持つ男』シリーズなどのベテラン、デイヴィッド・ザッカー
が担当している。
このシリーズに関しては、僕は第1作は見たはずだが、基本
的にウェイアンス一家の下ネタオンパレードが耐えられず、
第2作は見に行かなかったと記憶している。従って今回の製
作スタッフが交替すると聞いたときには、僕的にはちょっと
喝采したものだ。
ということでザッカー監督による新生『絶叫計画』だが、当
然のことながら作品はかなり真面目に作られている。題材に
されるのは、『ザ・リング』と『サイン』を中心に、『8M
ile』『マトリックス・リローデッド』といった作品群だ
が、それぞれオリジナルのファンとしても不快になることは
なかった。
お話は、チャーリー・シーン扮する元神父の農夫のトウモロ
コシ畑にミステリーサークル(?)が現れ、その弟は最高の
ラッパーを目指してバトルに参加し、一方、第1作では女子
高生だったシリーズレギュラーのアナ・ファリスは今回はニ
ュースレポーターに成長して死のヴィデオの謎を追っている
が…、といった具合。これにクィーン・ラティファ扮する預
言者や、ザッカー作品には常連のレスリー・ニールセンも登
場する。
実は、前々作はパロディと言っても恐怖シーンの再現などは
それなりに丁寧で、その意味での楽しみもあったが、今回は
『ザ・リング』以外の元ネタはホラーではないし、しかも下
ネタが封じられている分、正直に言ってパンチ力は今一つか
も知れない。
しかし、登場するパロディはどれも判りやすいし、その意味
ではパロディ映画の入門編のような感じとも言える。少なく
[5]続きを読む
07月31日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る