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On the Production
by 井口健二
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■ジャスティス/闇の迷宮、ロード88、IZO、マーダー・ライド・ショー、コウノトリの歌、キング・アーサー
イブ・イージー・ピーセス』などで認められた女優だが、最
近はかなりジャンル作品への出演が多いようだ。
『コウノトリの歌』“vu khuc con co”
2001年製作のヴェトナム・シンガポール合作映画。
ヴェトナム戦争をヴェトコン側から描いた作品。
前回も『フォッグ・オブ・ウォー』を紹介したばかりだが、
あの中でも語られていた「全員が犠牲になっても国を開放す
る」というヴェトコンの思想が、この映画を見るとなるほど
本当だったのだと理解できる。
もちろん、現在も共産主義国であるヴェトナムで作られた映
画だから、思想が変らないのは当然だが、家族も何もかもを
犠牲にして闘った人々の姿は、アメリカ人にはとうてい理解
できなかったものだろう。
物語は、従軍カメラマンだったチュイと、南に潜入していた
諜報部員ヴァンの姿を追って描かれる。2人は今も健在で、
映画には本人たちも登場しているが、特に現在も映像作家で
あるチュイは、ナレーターとして映画の進行役も勤める。
しかし戦闘シーンと言っても、アメリカ映画ほどの物量で描
ける訳もない本作では、主に人間ドラマに重きがおかれてい
るが、その意味では、いろいろな兵士のエピソードが語られ
るチュイのパートは印象が散漫になる。
それに対して、諜報部員ヴァンのパートは、フィクションの
部分も多いのだろうがそれなりにドラマティックだ。特にサ
イゴン陥落後、初めて軍服姿で以前に暮らしていた家を訪れ
るシーンでは、彼を見つめる年老いたメイドの姿が印象的だ
った。
映画の全体的には、正直に言って素朴だし、しかも出演者が
アジア人なので、かなり昔の日本映画を見ているような感じ
だったが、このメイドの姿には、本当の当事者でしか表わせ
ない、そんな雰囲気が漂っていた。
『キング・アーサー』“King Arthur”
『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジェリー・ブラッカイ
マーが製作した歴史ドラマ。
アーサー王伝説は、紀元6世紀ごろの物語と伝えられるが、
本作が描くのはその伝説の元になったとされる西暦415年ご
ろの物語。主人公は、ローマ支配下のブリテンに派遣された
ローマ人と中央アジアの戦士たち。
映画の始まりでアーサーがローマ人、ランスロットが中央ア
ジアの出身者と言われたときには、正直かなりの違和感を覚
えた。しかし物語が進むにつれ、そのような違和感は消え、
純粋に物語として楽しむことが出来た。
しかも物語の中には、エクカリバーの伝説や、円卓、マーリ
ン、またグウィネヴィアを巡るアーサーとランスロットの確
執などもそれとなく描かれるから、それなりに楽しむことも
出来るようになっている。
中央アジアの国サルマート。ローマとの戦争に破れたこの国
の戦士たちは、ローマのために闘うことを義務づけられる。
そして子孫もその義務を負い、少年ランスロットは15年間の
兵役に着くことになる。
任地はローマ支配下のブリテン。そこでランスロットは、ロ
ーマ人の血を引く司令官アーサーの下、同じサルマートの戦
士たちとともに数々の武勲を立てる。そして15年が経ち、ロ
ーマ法王からの兵役解除の指示書の届く日がやってくる。
しかし先住民のウォードの反抗と、北からの侵入者サクソン
の脅威に、ローマ法王庁はブリテンからの撤退を決定。そし
て兵役の最後の日、アーサーたちに北の砦にいるローマ人一
家救出の命令が下される。それは、今までにない過酷な命令
だった。
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07月14日(水)
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