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On the Production
by 井口健二
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■白いカラス、父と暮らせば、あなたにも書ける恋愛小説、ジャンプ、キル・ビルvol.2
ず去っていった恋人を、ぼろぼろになりながら捜し回る主人
公をかなりシリアスに描いている。そこに原田自身が醸し出
すユーモアが救いのように入ってくるところが、配役の妙と
言うところだ。                    
共演は、東京出身だが韓国で活躍しているという笛木優子と
牧瀬里穂。牧瀬はいつもながらの存在感を見せる。    
物語の展開で、東京蒲田から、天竜川沿い、博多、能古島、
伊万里へとロケーションが行われ、スケール感というほどで
はないが、いい味わいを出している。          
なお、鑑賞した試写室で前の作品が『犬と歩けば』だった。
そこで、終了を待ちながら宣伝担当の方を雑談したのだが、
『犬と歩けば』の田中直樹も、この作品の原田泰造もテレビ
のキャラクターに近い線でいい味を出しているということに
なった。                       
テレビタレントの起用では、昔、黒澤明監督が所ジョージを
うまく使いこなせなかったことが印象としてあるが、さすが
に今の監督は、テレビタレントでもそのキャラクターをうま
く引き出している。その辺も良い感じの作品だった。   
因みに、『犬と…』のキャスティングは、監督が使いたいと
思ったタレントをリストアップして交渉したら、ほぼ全員が
二つ返事で出てくれたのだそうだ。
                           
『レディキラーズ』“The Ladykillers”         
アレック・ギネス主演の1955年作品、『マダムと泥棒』を、
トム・ハンクスの主演、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟
の脚本監督でリメイクした作品。            
オリジナルはロンドンの下町が舞台だったようだが、リメイ
クではアメリカ南部の町を舞台に、黒人の老女を家主とし、
教会でのゴスペルコーラスなどをふんだんに取り入れて、物
語は軽快に進められる。といってもコーエン兄弟の作品、物
語には毒もふんだんに盛られている。          
ミシシッピー川沿いの静かな町。川には陸上では営業禁止の
カジノ船が浮かび、その川には沖合の島に塵芥を運ぶ船も行
き来している。そして川から程近い住宅地の家に、髭を貯え
た教授と自称する男が現れる。             
男は、その家に住む一人暮しの未亡人の黒人女性に、下宿の
申し込みと、古代音楽の練習のために地下室を貸してくれと
頼むのだが…。実は男の狙いは、その地下室から川岸にある
カジノの会計室までトンネルを掘り、資金を盗み出そうとい
うものだった。                    
そして男は仲間を呼び寄せ、地下室で音楽の練習を装いなが
ら、トンネル掘りなどの計画を着々と進めて行くのだが、家
主の女性の親切心とお節介から、計画は徐々に破綻を見せ始
める。                        
実は、物語では仲間喧嘩や神経性腸炎などの、普通の映画で
は無意味で嫌になるような展開もあるのだが、これがコーエ
ン作品だと、妙に填ってしまうところが面白い。殺人や事故
死なども出てくるが、これもなぜか納得できてしまう。この
辺がコーエン作品の魅力というところなのだろう。    
『オー・ブラザー!』を気に入るまで、コーエン兄弟の作品
には何か違和感があったが、以後の作品はどれも面白い。僕
が開眼したのか、兄弟が変わったのか。今回はそれなりに以
前の作品のムードのようにも思ったのだが、それでも違和感
は解消していた。                   
                           
『キル・ビルvol.2』“Kill Bill vol.2”      
昨秋公開されたvol.1に続く完結編。ザ・ブライドの復讐の
旅がクライマックスを迎える。             
一言で言えば面白かった。上映時間は2時間18分もあるが、
その間に手を替え品を替えて主人公を次々窮地に陥れては脱
出させ、さらに一対一の対決シーンなど見せ場も満載で、観

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04月14日(水)
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