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On the Production
by 井口健二
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■第60回
ウェドンは、物語が中途半端に終ったことに我慢できず、製
作プロダクションの首脳やエージェントなどと、他局での継
続やミニシリーズ化などの方策を検討、その結論として映画
化を目指すことにしたということだ。
 一方、番組のファンたちは、放送打ち切り後もインターネ
ット上のファンサイトなどで継続的に番組を取り上げ、その
結果、昨年12月に発売されたDVDは20万セットを売り上げ
る驚異的なヒット作になってしまった。そしてこの反響にユ
ニヴァーサルが応えることになったもので、映画化を目指す
ウェドンとの契約に踏み切ったということだ。因に、ウェド
ンはテレビシリーズの製作に関してはフォックスと契約を結
んでいたが、映画に関しての契約はなかったそうだ。
 といってもこの作品、映画化の脚本と監督はウェドン自身
が担当するが、彼は劇場用映画は初めてということで、その
契約金は微々たるもの。また、出演者もテレビシリーズのア
ダム・ボールドウィン、モレナ・バッカリン、ショーン・マ
ハーらがそのまま主演するが、彼らも映画界では新人。
 さらに撮影は、主にユニヴァーサルスタジオのセットと、
ロサンゼルス周辺のちょっとしたロケーションのみ。このた
め、総製作費は4000万ドル以下で済みそうだということで、
これでDVDを買ったファンの動員があれば、ほとんどノー
リスクというおいしい話になりそうだ。
 なお、ウェドンは“Buffy the Vampire Slayer”のクリエ
イターとしても知られるが、この作品は、彼が脚本家として
参加した同名の1992年の映画作品をテレビ化したもの。この
映画はヒットしなかったが、テレビ化で大成功を納めたもの
で、今回はその逆を狙うということだ。
 因に、テレビの短命に終ったシリーズから映画化された作
品では、6エピソードで打ち切られた後に映画でシリーズ化
された“Naked Gun”(裸の銃を持つ男:テレビシリーズ名
“Police Squad”)や、テレビではパイロット版の製作のみ
で放送もされなかった“Mulholland Dr.”(マルホランド・
ドライブ)などの先例があるようだ。
        *         *
 続いては、ちょっとトラブルの話題で、前回“A Princess
of Mars”の監督契約を紹介したロベルト・ロドリゲスが、
アメリカ監督協会(DGA)を脱退することが表明された。
 このトラブル、実は3月29日に撮影が開始されたディメン
ション作品“Sin City”を巡って発生したものだが、ロドリ
ゲスはこの作品で、原作者のフランク・ミラーを共同監督と
してクレジットしようとしたところ、DGAが定めた「1作
品1監督の規約」に違反すると注意を受けたというものだ。
 ところがこの作品の映画化に当っては、ミラーを共同監督
とすることが契約の条件とされており、このためロドリゲス
には、DGAを脱退するか、映画化を諦めるかの二者択一と
なって、前者の手段を取ることになったものだ。なお、この
選択についてロドリゲス本人は、「この作品の全てを把握し
ているのは原作者のミラーだけであり、この映画化は彼の協
力抜きには考えられない。従ってこの選択は全く容易なこと
だった」と語っている。
 さらにロドリゲスは、映画の一部をクエンティン・タラン
ティーノに監督してもらうことも希望しており、このため、
‘special guest director’というクレジットも用意してい
るそうだ。
 なお、ロドリゲスは原作者との交渉のために、ジョッシュ
・ハートネットとマーリー・シェルトンの出演で、自費で巻
頭のシーンを製作しており、本編でも多分この2人が主演す
るものと思われるが、実は、その他の出演者は交渉中で、そ
の交渉相手にはレオナルド・ディカプリオ、ジョニー・デッ
プ、ブルース・ウィリス、スティーヴ・ブシェミ、ブリタニ
ー・マーフィ、クリストファー・ウォーケン、マイクル・ダ
グラスらがリストアップされているそうだ。
 また、『レジェンド・オブ・メキシコ』にも出演したミッ
キー・ロークは、物語全体のまとめ役としての出演が予定さ

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04月01日(木)
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