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On the Production
by 井口健二
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■スパイダーマン2、MAY、クリムゾンR2、dot the i、ミッシング、エージェントC、ヴェロニカG、キッチンS、深呼吸、コールドM
ジョーンズとブランシェットが、確執を持った親子を見事に
演じ切る。そこにユーモアやアクション、さらに超自然のイ
ンディアンの呪術までも織り込んで、とにかく2時間17分の
上映時間を一気に見せ切ってしまう。その巧さはまさに一級
のエンターテインメント、ハワード監督の手腕も光る作品と
いうところだ。
それに、下の娘を演じたジェナ・ボイドが良い。1993年生ま
れだから撮影時10歳ということになるが、馬は見事に乗りこ
なすし、ジョーンズ、ブランシェットを向こうに廻して引け
を取らない演技力もある。いやはや末恐ろしいことだ。
『エージェント・コーディ』“Agent Cody Banks”
昨年3月14日の週末に第2位で初登場し、以後4週に亙って
ベスト10入りして、最終的には4700万ドル余りの興行成績を
記録した若年向けスパイコメディ。
スパイ物の雑誌が好きだったり、スパイグッズを購入しただ
けでCIAにスカウトされた少年が、サマーキャンプを装っ
た訓練プログラムで、スパイとして一通りのテクニックをマ
スターし、国家の危機を救うべく大活躍するというお話。
昨年公開された『コンフェッション』や、正月公開の『リク
ルート』でも、一般人を徴用してスパイを養成する話が出て
きたが、こう立て続けに見せられると、こういうお話が、唯
の作り話ではないような感じがしてきた。
それはさて置き、高校生の主人公は、学校ではいじめられっ
子的存在だが、実は空手やドライヴィングテクニックも抜群
で、そのことを周囲には隠している。それが一旦ことが起こ
ると、その能力を発揮して大活躍するのだから、これは典型
的な願望充足型の物語。
この手のスパイコメディもいろいろ公開されたが、本作は、
『スパイキッズ』ほどのお子様ランチではなく、『オーステ
ィン・パワーズ』ほどアダルトでもない。その中庸さ加減が
興行成績に現れているとも言えるが、まさにティーンズ狙い
というところだろう。
しかし大人向けには、いろいろな映画のパロディがこの作品
でも楽しめる。特にはセットの造形が凝っていて、007を
始めいろいろ登場してくるが、ヒロインが閉じ込められる場
所が『スローターハウス5』にインスパイアされているとは
思わなかった。
他にも、主人公のメンター役の女性が往年のラクウェル・ウ
ェルチ張りの容姿で、当時の彼女を思わせるジャンプスーツ
で登場したり、着信音が『電撃フリント』(これは定番にな
りつつあるようだ)だったり、映画ファンにはその発見もお
楽しみだ。
アメリカではちょうど続編が公開中だが、この続編はちょっ
といろいろな作品に囲まれて興行は苦戦中のようだ。でも、
できれば上の2作同様のトリロジーになることを期待したい
くらいに、楽しめる作品だった。
『ヴェロニカ・ゲリン』“Veronica Guerin”
1990年代のアイルランドで、麻薬組織に敢然と立ち向かった
女性ジャーナリストの姿を、ケイト・ブランシェットの主演
で描いた実録物語。
ゲリンはフリージャーナリストから出発し、その後にサンデ
ー・インディペンデント紙の記者となったとあるが、この経
歴のせいか常に単独行動で、それが彼女一人に名声を与える
と同時に、組織の恨みも集中させてしまう。
それにしても、ここまで彼女は単独でやったのだろうかとい
うことには疑問も沸く。映画の巻頭には、事実に基づきフィ
クションも織り交ぜたと書かれていたようにも思ったが、そ
れは何を意味しているのだろうか。
しかし彼女の行動によって、麻薬組織撲滅のため国を挙げて
の行動となり、最終的には犯罪発生率を15%も低下させたと
いう実績は真実なのだろう。1時間38分のこの映画は、その
事実を、余分の描写を極力廃して純粋に描いている。
主演のブランシェットは、先に『ミッシング』を見たばかり
だが、本作でも子を持つ母親でありながら、自分の使命に立
ち向かって行く女性を見事に演じている。
そしてその子役が、今回は本当に幼い男の子でほとんどのシ
ーンは遊んでいるだけだが、1回だけ凄い演技をして見せる
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03月31日(水)
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