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On the Production
by 井口健二
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■第58回
ており、その線で交渉が進められているようだ。
同じような物語では、ダルトン・トランボが1971年に自作
の小説を映画化した『ジョニーは戦場に行った』が思い出さ
れるが、今回は実話の映画化ということで、特に伝記の映画
化で評価の高いシュナベルが、どのような作品に描き出すか
楽しみだ。
* *
リメイクの情報で、1972年に製作され、デザスター映画ブ
ームの発端になったと言われる“The Poseidon Adventure”
(ポセイドン・アドベンチャー)をリメイクする計画がワー
ナーから発表されている。
この作品のオリジナルはフォックスが配給したものだが、
製作したのは当時テレビシリーズの製作者として有名だった
アーウィン・アレンのプロダクションで、この後アレンはワ
ーナーに籍を移したために、アレンの所有していた権利は、
現在はワーナーが管理しているようだ。
そして今回この計画を進めているのは、アレンと同じくテ
レビシリーズ製作者のマイク・フライスと、それにウルフガ
ング・ペーターゼンが加わることになっている。
ペーターゼンは、現在は“Troy”の仕上げも終った頃のよ
うだが、ドイツ時代に手掛けた『Uボート』や、近作では海
洋デザスター作品とも呼べる『パーフェクト・ストーム』を
監督しており、今回のリメイクには最適と言える。ただし、
今回の計画では、ペーターゼン自身の監督は考えられていな
いということで、製作者の立場から映画製作を見守ることに
なりそうだ。
とは言うものの、ペーターゼンは、『パーフェクト・スト
ーム』で描いた大波のシーンには相当の自信があるようで、
「素晴らしいテクノロジーの進歩によって、今こそが“The
Poseidon Adventure”のリメイクに最適の時だ」と語ってお
り、「我々はこの作品を、最高の恐怖と、そして数多くの楽
しさに満ちた作品に仕上げることができる」と抱負を語った
ということだ。
確かに30年前の作品では、横波を受けた大型客船が転覆す
るシーンはミニチュアで撮影されたもので、当時としては大
掛かりで良くできていたとは言うものの、やはり現実感には
乏しいものだった。それが現在の技術でどこまで迫真のもの
となるか、ペーターゼンは相当の自信がありそうだが、その
辺も楽しみな作品となりそうだ。
なお、フライスは『テキサス・チェーンソー』の製作にも
名を連ねており、またこの夏公開のユニヴァーサル作品では
監督デビューもしているようだが、彼も本作の監督は担当し
ないということだ。となると、これから選考される監督にも
注目が集まることになりそうだ。
因に、1972年のオリジナルは、アカデミー賞の助演女優賞
(シェリー・ウィンタース)を始め、撮影賞、美術賞、音響
賞、編集賞、作曲賞、衣装デザイン賞にノミネートされ、主
題歌賞と視覚効果賞(特別賞)を受賞している。
* *
お次も、製作会社の変更に関連する話題で、2001年12月15
日付の第5回で紹介したようにユニヴァーサルからミラマッ
クスに移管された“The Green Hornet”の映画化の計画が、
いよいよ本格的になってきた。
この計画は、ユニヴァーサルではジョージ・クルーニーと
ジェット・リーの共演が予定され、『ユージアル・サスペク
ツ』のクリストファー・マカリーの脚本なども用意されてい
たものだったが、結局、最も出演を希望していたリーのスケ
ジュールの都合などで実行に至らず、すでに1000万ドルを費
やしたといわれる映画製作の権利を、300万ドルでミラマッ
クスに売り渡したものだった。
しかし、ミラマックス側もこれに直ちには着手せず、タイ
ミングを見ていたもので、今回はこの計画の脚本と監督に、
昨年日本公開された『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への
逆襲』を手掛けたケヴィン・スミスの起用を発表している。
因にスミスは、ミラマックスとは専属契約を結んでおり、
3月には新作の“Jersey Girl”という作品が公開されるこ
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03月01日(月)
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