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On the Production
by 井口健二
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■第57回
 なお今回の計画は、元々が“Indiana Jones”のDVDの
発売に合わせるという思惑もあったということだが、その発
売も既に終了して、この先、本当に実現できるのか、かなり
不安な状況になってきた感じだ。
        *         *
 ついでに、上の記事にも書いたフランク・ダラボンの動向
を紹介しておこう。
 ダラボンは、ここ数年は主宰するダークウッズ・プロダク
ションを通じてキャッスルロックと契約してたもので、脚本
のみを手掛けた“The Salton Sea”と、脚色監督を担当した
『グリーン・マイル』『マジェスティック』を同社から発表
している。しかし今回、その契約を解消して、新たにパラマ
ウントと3年間の優先契約を結んだということだ。
 そして現在、ダークウッズの計画では、まず進行中なのが
ドリームワークスが製作している“Collateral”。トム・ク
ルーズ主演で、マイクル・マンが監督しているこの作品で、
ダラボンは脚本の準備稿を執筆すると共に、マン監督の起用
を実現し、製作総指揮も務めているということだ。
 また、以前に紹介したレイ・ブラッドベリ原作の2度目の
映画化となる“Fahrenheit 451”が進行中。ただし、メル・
ギブスンの主演で、ダラボンの監督も予定されているこの計
画は、ワーナーで進められるということだ。
 と言うことで、ここから後が今回のパラマウントとの契約
に関ることになるが、まずは、伝記ものが2作品で“Tokyo
Rose”と“Rivers in the Desert: William Mulholland and
the Inventing of Los Angels”、前者は第2次大戦秘話に
なりそうだ。
 続いて、アクション・アドヴェンチャーも2作品で“Doc
Savage: The Man of Bronze”と“Way of the Rat”、前者
は、1975年に一度映画化されたケネス・ロブスン原作のちょ
っとファンタスティックな冒険小説のリメイク。さらにスリ
ラーで“Mine”、ロマンスの“Standing Down”、ドラマの
“Back Roads”“Runt of the Litter”となっている。 
 まあ、かなり企画は抱えている感じだが、パラマウントも
目算があって今回の契約を結んだはずで、さて、この内のど
れが実現するのだろうか。
        *         *
 続いては、SF映画の話題で、“The Island”と題された
オリジナル脚本に対して入札による争奪戦が行われ、マイク
ル・ベイの監督が予定されているこの脚本の映画権を、最低
100万〜150万ドルの契約金でドリームワークスが獲得した。
 アンジェリーナ・ジョリー主演の『すべては愛のために』
などを手掛けた脚本家カスピアン・トレッドウェル=オーウ
ェンが執筆したこの脚本は、収穫されることを前提として育
てられる人類をテーマにしたもので、その宿命に疑問を抱い
た主人公がユートピアのような飼育場から逃亡する冒険が描
かれる。
 そしてこの脚本の争奪戦には、パラマウントも参加してい
たということだが、実は同社では、1月1日付第54回で紹介
した“Spares”という作品がよく似たテーマを描いており、
今回の争奪戦で映画化権を獲得した場合には、両者を合体し
て製作する期待もあったということだ。
 しかしドリームワークスに破れてしまった訳だが、ここで
面白いのは、実は“Spares”の企画は、元々は1997年頃にド
リームワークスが進めていたもので、その時はスピルバーグ
の監督で、主演にはトム・クルーズが予定されていた。とこ
ろがドリームワークスでの製作は断念され、それをクルーズ
がパラマウントに持ち込んだものだったようだ。
 ということで、何とも複雑な関係になってしまったものだ
が、このまま両作とも製作されると競作になる恐れもあり、
またドリームワークスとパラマウントでは、『ディープ・イ
ンパクト』から『ペイチェック』まで、SF映画の共同製作
の作品も数多い。となると、今後その可能性も無いとは言え
ないが、それなら今回の争奪戦は一体何だったのかというこ
とにもなりそうだ。
 なお、昨年『バッド・ボーイズ2』の監督と、『テキサス

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02月15日(日)
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