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On the Production
by 井口健二
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■ヘブン・アンド・アース、恋する幼虫、悪霊喰、ブラザー・ベア、ハンター、ソニー、ギャザリング、ドッグヴィル
人化しているようなところもなく素直に楽しめた。逆に、コ
メディリリーフ的に登場する擬人化された部分も判りやすく
良い感じだった。
Pixer作品などのように、大人も楽しめるかと言われると、
ちょっと躊躇するところはあるが、元々お子様向けの作品と
して丁寧に作られたもので、ターゲットはしっかりと捉えて
いる。後は日本語吹き替え版の出来しだいというところだ。
なお、この作品では、画面サイズが最初1.85:1のヴィスタ
サイズで始まって、途中から2.35:1のスコープサイズにな
る。試写では、前半スクリーンの両サイドに黒みが出る状態
で上映されたが、出来ればちゃんとスクリーンのマスクを移
動してもらいたいものだ。予告編との切り替えでは出来てい
るのだから。
『ハンター』(カザフスタン映画)
今年のNHK主催のアジア・フィルム・フェスティバルのた
めに製作された作品。
2000年の東京国際映画祭シネマプリズムで、『3人兄弟』と
いう作品が上映されたセリック・アブリモフ監督の新作。前
作はソビエト時代に核実験場だった場所の近くに住む少年た
ちの成長を描いていた。
この作品は完成が遅れ、事前の試写が行われなかったものだ
が、実は事前の資料に掲載された物語と映画の内容が異なっ
ており、何か未完成のような印象を受ける。
物語は、カザフスタンの山岳地方の雄大な風景を背景に、一
人の少年の成長が描かれる。そこには性への目覚めや大人へ
の成長が描かれ、それなりにまとまっているようにも思える
が、資料に掲載された話はもっとドラマティックなものだっ
た。
それに、上映時間も事前の資料では110分となっていたが、
上映された作品は91分、特に後半が大幅に欠落している感じ
で、未完成の印象は拭えない。
このフェスティバルは隔年開催で、今回を逃すと上映の機会
は2年後となってしまう訳だが、それにしても、この作品が
未完成だったとしたら、入場料を取って上映するのは正しい
ことではないと思う。
ということで、以前の紹介も含めて今期の4作品を紹介した
が、1昨年の前回に比べて、作品のレヴェルは下がっている
感じがした。実際、今回の作品の中で、金を取って見せられ
るのは『恋之風景』だけのように思える。『OSAMA』は
かろうじて話題性があるという程度だろう。
NHKも、ただ金をばらまいているだけではいけない時期に
来ているのではないか。製作者としての立場をもっと発揮す
るべきではないかと感じた。
『ソニー』“Sonny”
ニコラス・ケイジの初監督作品。1980年代初め頃のニューオ
ルリンズを舞台に、一人の男の生き様が描かれる。
兵役を終えた主人公が生まれ育った街に帰ってくる。そこは
売春宿の並ぶ歓楽街で、主人公はその街で12歳の時から客を
取ってきた男娼。実の母親に教え込まれたテクニックは伝説
とまで言われていた。
しかし兵役の中で堅気の生活を知った主人公は、そんな境遇
を抜け出したいと思うようになっていた。とは言うものの、
堅気の生活を全く知らない主人公は、そこを抜け出す手段す
ら判らぬまま、ずるずると元の生活に戻ってしまう。
そんな主人公に、彼が居ない間に彼の母親が育て上げた一人
の娼婦が好意を寄せる。そして彼女は、主人公と共に堅気の
生活をすることを夢見るのだったが…。
特殊な境遇の主人公の物語ではあるが、その根底にある人間
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12月31日(水)
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