ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ブラッド・ワーク、抱擁、ブラッディ・マロリー、ケミカル、ヘヴン、銀幕のメモワール、レッド・ドラゴン、リロ&、ウォーク・トゥ
『トリコロール』のクシシュトフ・キェシロフスキ監督の遺
稿脚本を、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァが監
督した男女の恋愛ドラマ。               
女は、イタリア在住のイギリス人で小学校で英語を教えてい
る教師。彼女の夫は麻薬の過剰摂取で死亡し、その麻薬の元
締めが夫の友人の実業家の裏の顔であることを知っている。
そしてその魔手は彼女の教え子たちにも伸び始めている。 
彼女はその事実を何度も警察に訴えたが、聞き届けられず、
ついに教え子の一人が死亡した日、彼女は手製の時限爆弾を
持って実業家のオフィスを訪ねる。そして置いてきた爆弾の
爆発音を聞いた彼女は、警察に犯行を報告し逮捕される。 
男は、警察の前の本部長の息子。父の後を追って警察に勤め
るようになるが、何か目標のあるような人生ではない。その
彼が、書記として女の尋問に立ち会い、女が英語でしか答え
ないと主張したために、資格のある彼は通訳をすることにな
る。                         
しかし彼女の仕掛けた爆弾が、爆発の寸前に掃除婦に回収さ
れ、掃除婦と居合わせた親子3人を死亡させて、目的の実業
家を殺せなかったと知らされたとき、罪悪感で失神した彼女
を介護した男は、彼女に恋するようになる。       
そして警察内の不正にも気付いた男は、女の脱走と実業家の
殺害を手引きしてしまう。               
見事にドラマという感じの作品だ。結末に至るまで、フィク
ションそのものという感じだが、これが映画というものだろ
う。それと女を演じるケイト・ブランシェットの存在感。前
作『シャーロット・グレイ』でもそうだったが、まさに圧倒
的だった。                      
                           
『銀幕のメモワール』“Lisa”             
1926年生まれのピエール・グランブラ監督が、1927年生まれ
のジャンヌ・モローを主演に迎えて描いた第2次世界大戦を
背景にした悲恋ドラマ。                
ブノワ・マジメルが扮する映画監督のサムは、第2次大戦前
夜に活躍し、謎の失踪をした映画俳優の生涯を追っている。
その彼が発見した1枚の写真には、俳優に寄り添うリザとい
う女性が写っていた。サムはリザを捜しだし、思い出を聞き
出そうとする。                    
それは結核サナトリウムで起きた出来事。その近くで行われ
た映画の撮影を見に行ったリザは、俳優に恋をし、全てを捧
げる決心をする。しかしナチの侵攻が始まり、映画人たちも
戦場に駆り出されて行く。               
やがてサナトリウムにもユダヤ人狩りの手が伸び、リザは、
ユダヤ人を匿う院長の手助けをすることになる。そこへ捕虜
収容所を脱走した俳優が現れ、彼も匿われることになるのだ
が、それは悲劇への幕開けとなる。           
今年76歳の監督は、長くテレビで仕事をしており、本作が26
年ぶりの映画への復帰作品だそうだ。そんな監督が撮りたか
ったもの、それは第2次大戦中にフランスの各地で起きたで
あろう悲劇の物語だ。                 
監督自身はユダヤ人のようだが、ここでは告発をしようとい
うのではなく、ナチに協力してユダヤ人狩りに手を貸した人
々が居たという事実を、フランス人の心に残る深い傷として
描いている。                     
また、映画ではモローが演じる現代のリザと、マリオン・コ
ティアールが演じる若き日のリザを巧みに交錯させて見事に
描いている。75歳のモローの演技にも感動した。     
                           
『レッド・ドラゴン』“Red Dragon”          
トマス・ハリスの原作でハンニバル・レクターが登場した第
1作の再映画化。                   

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12月02日(月)
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