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On the Production
by 井口健二
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■フレイルティー−妄執、パープルストーム、白と黒の恋人たち、スパイダー・パニック、オールド・ルーキー、裸足の1500マイル
1999年9月18日、35歳で初めてメイジャーリーグのマウンド
に立ち、史上最年長ルーキーと呼ばれたジム・モリスの実話
に基づく物語。
64年生まれのモリスは、子供の頃から野球選手に憧れていた
が、厳格な軍人だった父親の影響もあって容易にその道に進
むことはできなかった。それでもハイスクール卒業後、一旦
はアマチュアドラフトの指名を受けてプロになるが、マイナ
ーリーグ在籍中の89年に肩の故障で続行を断念。その後は大
学を出て故郷の高校の化学の教師となっていた。
ところがそこで野球部の監督を引き受けたことから、野球へ
の情熱が甦り始める。しかも練習を続けていた肩は、時速98
マイルを超える豪速球を生み出していた。そして弱小チーム
の士気を鼓舞するために、地区優勝したらプロテストを受け
ると約束し、見事優勝を果たした教え子の後押しでプロテス
トを受け、プロの道に戻ることになる。
しかしマイナーリーグ選手の生活は厳しく、ついには再びそ
の道を断念しようとするのだが…。
本来ならマイナーリーグの生活がもっと厳しく描かれてもい
いような気もしたが、映画の本筋はアメリカン・ドリームな
訳だし、実際に彼は3カ月でメイジャーに上がったというか
らこんなものなのだろう。
それにしてもメイジャーリーグというのは奥が深い。
『裸足の1500マイル』“Rabbit-Proof Fence”
『パトリオット・ゲーム』などのフィリップ・ノイス監督が
母国オーストラリアに戻って監督したアボリジニ迫害政策を
巡る物語。
舞台は、1931年、西オーストラリア州。オーストラリア政府
は19世紀末頃からアボリジニ同化政策を進めており、その一
環として白人との混血の子供たちを隔離し、白人の文化を植
え付ける施策を繰り広げていた。
西オーストラリア・ギブソン砂漠の端にあるアボリジニの村
ジンガロング。ウサギ避けフェンス沿いにあるその村で暮ら
していた14歳の少女モリーは、8歳の妹と10歳の従兄弟と共
に“保護”され、ムーアリバー居留地に連れて行かれる。
そこではアボリジニの言葉は禁止され、英語だけでハウスキ
ーピングなどの躾が教えられていた。その目的は、彼らをメ
イドやハウスキーパーとして白人の家に引き取らせ、特に女
子には白人との混血を進めて人種的にも同化させようとして
いたのだ。
しかし母親と共に暮らしたいモリーは、妹と従兄弟の手を引
いて居留地から逃亡し、ウサギ避けフェンス沿いに砂漠を越
えて故郷の村を目指す。その後をアボリジニの凄腕の追跡者
と、保護局の命を受けた警察が追ったが…。
どんな国にも暗い過去はあるのだろうが、オーストラリアの
ような若い国にも過去の過ちはあったということだ。この物
語は実話に基づいているが、実際にこの施策は1970年代の初
めまで続けられていたということで、その間の隔離されたア
ボリジニたちには文化の断絶が生じ、「盗まれた世代」と呼
ばれているそうだ。
先日のシドニー・オリンピックでは、アボリジニ文化が前面
に演出されたが、いまだに彼らに対する政府からの公式の謝
罪はされていないという。
この物語を、すでにハリウッドでの地位も確立しているノイ
スが製作を買って出てまで監督し、撮影監督には、やはりオ
ーストラリア出身でウォン・カーウァイ監督の諸作など香港
で活躍するクリストファー・ドイルを招いて、万全の体制で
制作した作品と言える。
つまりそれだけ思いの込められた作品ということだろう。
配役にはアボリジニの素人の少女3人を起用し、他にも要所
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10月16日(水)
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