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On the Production
by 井口健二
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■第25回
99年に『グロリア』のリメイクを監督したシドニー・ルメ
ットが、今度は49年のRKO作品“The Set-Up”(罠)のリ
メイクを脚色し、自ら監督する計画が発表された。オリジナ
ルはロバート・ワイズ監督、ロバート・ライアンの主演で、
35歳の全盛期を過ぎたプロボクサーが金のために再びリング
に立つ。しかし八百長を指示されて…、というもの。リメイ
クでは、この主人公を『デンジャラス・ビューティー』のベ
ンジャミン・ブラットが演じ、彼の長年のガールフレンド役
にハル・ベリー、また彼女に思いを寄せるホテルマネージャ
ーに『ザ・メキシカン』のジェームズ・ガンドルフィーニと
いう顔ぶれが発表されている。なお、ブラットはすでにボク
シングのトレーニングを始めているそうだ。製作はRKO。
* *
リメイクに続いては、これもリメイクと言えば全部そうな
ってしまうが、歴史ものの計画を2本紹介しよう。
まず最初は、メル・ギブスンの監督で、イエス・キリスト
が処刑されるまでの12時間を描く“The Passion”という作
品が準備されている。
この作品は、ギブスンがオスカーを受賞した95年の『ブレ
イブハート』以来の監督に復帰するもので、前の2作の監督
作品では主演も兼ねたが、今回は監督に専念する計画。そし
てこの計画では、全台詞をラテン語とキリストが用いたとさ
れる古代アラム語で行い、しかもギブスンはこの作品を字幕
なしで公開したいとしている。
このことについてはギブスン自身が、「周りからは頭がお
かしくなったんじゃないかと言われているが、自分でもそう
かもしれないと思う。でも僕は天才かもしれないから…」と
語っているそうで、出来るだけ映像のみで理解できる作品に
したいということだ。ただし本人も、「うまく行かなかった
ら、字幕をつけることもある」とは言っているようだ。
なお脚本は、ギブスンとベン・フィッツジェラルドという
脚本家がいろいろな文献を参考にして書き上げたもので、こ
れをロサンゼルスに本拠のあるイエズス会の語学研究者ビル
・フルコ教授が、ラテン語と古代アラム語に翻訳。教授は撮
影にも立ち会ってダイアローグコーチを勤めるそうだ。撮影
は11月4日から10週間のスケジュールで、イタリアのチネチ
ッタスタジオで行われることになっている。
配役は、キリストに『シン・レッド・ライン』のジム・カ
ヴィエゼルを起用。またマグダラのマリア役は、モニカ・ベ
ルッチが演じることになっている。この他、脇役のほとんど
はイタリア人で固められているようだ。なお、カヴィエゼル
はアメリカ人だが、デビュー作ではイタリア人と偽って役を
得たというエピソードも伝えられており、これは適役という
ところだろう。それにしても台詞が古代語というのは大変な
ことになりそうだ。
製作費はギブスン主宰のイコン・プロが全額出資し、アメ
リカ配給は未定。イコン・プロは、現在は本拠をフォックス
に置いているがどうなるのだろうか。
因に、キリストを描いた作品では、マーチン・スコセッシ
監督、ウイレム・デフォー主演の“The Last Temptation
of Christ”(最後の誘惑)や、ジョージ・スティーヴンス
監督、マックス・フォン=シドー主演の“The Greatest
Story Ever Told”(偉大な生涯の物語)などが作られてい
るが、今回の製作に当ってギブスンは、カソリックの総本山
ヴァチカンの高位の担当者と入念な打ち合わせをし、充分な
コンサルティングを受けているということで、宗教的な裏づ
けのある本格的な作品が作られるようだ。
* *
もう1本は、ロン・ハワードの監督で、メキシコのアズテ
カ文明の最後を描く計画が発表されている。
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10月15日(火)
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