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On the Production
by 井口健二
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■特集:東京国際映画祭(コンペティション14作品+レイン、遊園驚夢、ヴィドック)
い、訪れた家で昔恋した女性に再会する。それは束の間の安
らぎを彼に与えるはずだったが、やがて恐ろしい殺しの連鎖
を引き起こしてしまう。
原作はあるようだが、愛すらも殺しでしか表現できない男と
いう設定は余りに壮絶。テーマを肯定はしないが、視覚的な
アクションに落とさずに描き切った点は評価したい。
『月の光の下に』“Under the Moonlight”
優れた僧侶を祖父に持つイスラム教神学生の主人公は、僧の
証であるターバンを巻く日が近づいているが、彼自身は自分
に僧になる資格があるかどうか迷っている。
しかし故郷の父親から僧服とターバンを購入する資金を送ら
れ、バザールへと買いに行った帰り道、親しげに近寄ってき
たガム売りの少年に買ってきたものを盗まれてしまう。
そして主人公は、品物を取り戻すために少年がいるという高
速道路の陸橋下のホームレスの溜まり場に行き、そこに暮ら
す人々の生活を目の当りにする。
繁栄の象徴の高速道路とその下のホームレス達。今やどこの
国にもありそうな風景だが、これをイスラム革命の元祖のよ
うなイランの映画で描かれるとは…。
物語はイスラム教が堕落したとかいうようなことを描いてい
る訳ではないが、原理主義とアフガニスタンの現状を考え合
わせると、複雑な気分になる。
『スローガン』“Slogans”
70年代後半のアルバニア。山里の小学校に赴任した主人公は
着任早々政治スローガンを選ばされる。彼は同席した先輩教
師の指図で短い方を選ぶが、それは生徒たちが労働奉仕で山
腹に石を並べて形作るためのものだった。
この他、生徒が中国を修正主義と言ったばかりに、生徒から
教師までもが懲罰を受けるといった共産主義末期のあきれる
ような教条主義や権威主義の不条理な実体が描き出される。
見ていると馬鹿々々しい限りだが、これが当時本当に行われ
ていたことなのだ。
そして国家体制の変化が、ようやくそれを描くことを許した
訳だが、本国内では賛否両論があるという。結末らしい結末
の無い物語は傷の深さを表わしているようだ。
『週末の出来事』“秘語拾■小時”
北京から友人を連れて故郷に遊びに来た女性と、地元に残り
結婚して子供もいる同窓生で警官になった男性。彼らを含む
男女6人のグループは船で渓谷に行き、水遊びをするが、そ
こで「死ぬまで愛し続ける」と書かれた1枚の紙片が見つか
る。
夕刻、警官は勤務のために町に戻り、彼以外の5人は突然の
雨に川辺から近くの鍾乳洞の管理所に移動して一夜を明かす
ことになる。そして誰が書いたか判らない1枚の紙片がさざ
なみを立てて行く。
何でもないことが人々の心理に影響し、いろいろなことが起
きて行くという物語だが、それなりに面白く描かれていた。
特に中国特有の物語ではないが、やはり中国の現状は垣間見
えるようだ。
内蒙古で製作された映画は、英語と日本語の他に北京語の字
幕も添えられていた。
『反抗』“Das Fahnlein der Sieben Aufrechten”
ゴッドフリード・ケラーの原作を映画化した作品。1850年代
のスイスを舞台に、男女同権や民主主義を目指す人々の動き
を、若い男女の恋愛を織り込みながら描く。
主人公の男女をスノーボーダーの世界チャンピオンとポップ
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11月04日(日)
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