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On the Production
by 井口健二
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■ペリリュー−楽園のゲルニカ−、チャップリン、アグリーシスター可愛いあの娘は醜いわたし
出演はマイケル、ジェラルディンに加えて第4子のヴィクト
リア、第6子のジェーン、第8子のクリストファーらが父親
の思い出を語る。
さらにロマ関係で俳優のジョニー・デップ、監督エミール・
クリストリッツァ、トニー・ガトリフ、ダンサーのファルキ
ートら。他に俳優のクレア・ブルーム、伝記作家デヴィッド
・ロビンソンらも登場して名優の姿が描かれる。
そして『ニューヨークの王様』や『キッド』『街の灯』『ラ
イムライト』『独裁者』『黄金狂時代』などの名場面も挿入
される作品だ。
それにしても挿入されたそれぞれの作品を観ると、それは本
作の監督の意図も反映されているとは思うが、かなり政治的
な側面も持つことが判る。それはアメリカへの再入国禁止の
処置にも象徴されるが、その意志は明確なものだ。
因に本作の副題は「Tramp の精神」だが、チャーリーは今の
アメリカ大統領をどんな目で見ているのかな? そんなこと
も考えてしまった。まあTramp には浮浪者以外の意味合いも
あるようだが。
公開は12月19日より、東京地区は角川シネマ有楽町他にて全
国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アンプラグドの招待で試写を観
て投稿するものです。
『アグリーシスター可愛いあの娘は醜いわたし』
“Den stygge stesøsteren”
ディズニーアニメでも知られる童話「シンデレラ」を敵役の
義姉妹の視線から描いた映倫R15+指定の作品。因に本作はベ
ルリン国際映画祭パノラマ部門に出品され、サンダンス映画
祭でも上映された。
主人公は落ちぶれた貴族の娘。彼女は妹と共に母親の再婚相
手の館のある王国にやってくる。そこは彼女の憧れ的である
王子が暮らす国でもあった。そして母親の再婚相手には美貌
の娘もいた。
ところが継父が急死、しかも遺産がほとんどないことが判明
する。従って一家には王子の目に留まって妃となることしか
道はなくなるが、そこに折よく舞踏会の案内が届き、その舞
踏会には主人公と義姉が招待されることになる。
そこで主人公は隆鼻術やまつ毛の植毛など過激な美容整形に
耐え、元々ダンスは才能があったらしく舞踏会で披露される
群舞のセンターに選ばれる。こうして義姉のドレスを引き裂
くなどの策謀を経て舞踏会に臨むことになるが…。
出演は子役出身でモデルとしても活動しているリア・マレイ
ンと、2014年11月2日付「第27回東京国際映画祭《コンペテ
ィション部門》」で紹介『1001グラム』に主演していたアー
ネ・ダール・トルプ。
他にテア・ソフィー・ロック・ネス、フロー・ファゲーリ、
イサーク・カムロート、マルテ・ゴーティンゲルらが脇を固
めている。
脚本と監督は、1991年生まれで2018年にノルウェー映画学校
での卒業制作だった短編作品が各国の映画祭に招待されるな
ど評価されたエミリア・ブリックフェルト。短編は大胆で挑
戦的な作品と言う女性監督の長編デビュー作だ。
映画では義姉の方にはちゃんと魔法使いが現れており、正に
視点を変えた作品ということになるが、本来は悪役の義姉妹
にしっかりとキャラクターを与えているところは見事な作品
だ。しかもかなりえぐい。
特に主人公が靴のサイズに足を合わせる下りは、僕の記憶で
原作は確か踵を削るということで、以前にそういう描写の作
品も観ているが、本作ではそこの改変が正にえぐいという感
じの映像になっていた。
ただしシンデレラのドレスを修復するシーンの描写では生物
学的に蚕の糸はそこからは出ない。ここは監督が『モスラ』
を観ていなかったようで、その点は少し残念だったかな。で
も今後も楽しみな監督が出てきたようだ。
公開は2026年1月16日より、東京地区は新宿ピカデリー他に
て全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社スターキャットアルバトロス・
フィルムの招待で試写を観て投稿するものです。
11月23日(日)
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