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On the Production
by 井口健二
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■架空の犬と嘘をつく猫、役者になったスパイ、Good Luck
キー。なお脚本には監督の友人で舞台関係者というプリニオ
・バッハマンとバルバラ・ゾマーの2人が協力している。
出演は監督のデビュー作にも出ていたというフィリップ・グ
ラバーと監督作に常連のミリアム・シュタイン。他にマイク
・ミュラー、ミヒャエル・マールテンス、ピーター・イェッ
クリン。
さらにシュテファン・シェーンホルツァー、ゼバスティアン
・クレーヘンビュー、デニス・ビンチュ、ファビアン・クリ
ューガー、エバ・バイ、オリアーナ・シュラーゲらが脇を固
めている。
演劇絡みのストーリーがどこまで実話に沿っているかは判ら
ないが、日本でも演劇関係者には左翼系が多かったからこん
な事もあったのだろう。現地では当時の関係者からコメディ
タッチに批判もあったようだが、話はうまくできている。
しかもこれが現代社会に通じている感じがするのも見事なと
ころで、特に戦時の接近が想定される社会では今でも有り得
る話として描かれている感じもした。ロマンスコメディの名
手と言われる監督の視線は鋭いものだ。
公開は2026年1月23日より、東京はYEBISU GARDEN CINEMA、
シネスイッチ銀座、UPLINK吉祥寺、新宿武蔵野館他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社カルチュアルライフの招待で試
写を観て投稿するものです。
『Good Luck』
2014年『百円の恋』や2023年のテレビ小説『ブギウギ』など
の脚本家足立紳が、2023年『雑魚どもよ、大志を抱け!』に
次いで脚本監督を手掛けた作品。
主人公は30歳間際の売れない映画監督。学生時代に撮った作
品が評価されてこの世界に飛び込んだが、以後は鳴かず飛ば
ずという感じのようだ。そんな監督の新作が別府映画祭の佳
作に選ばれる。
その作品は同棲相手の日常を撮っただけの映像で監督自身も
納得していなかったが、同棲相手からは取り敢えず招待され
た上映会に出席するよう背中を押される。こうして別府にや
ってきた監督だったが、上映後のトークは散々だった。
そんな監督はふと上映会に参加していた観客の女性と巡り合
い、一人旅の彼女とその後の行動を共にすることになる。そ
して2人は大分県の観光地を巡って行くことになるが…。豊
後大野の摩訶不思議な観光地が紹介される。
出演は、2019年3月3日付『ホモソーシャルダンス』の中で
紹介『老ナルキソス』などの佐野弘樹と、演劇やテレビでも
活躍中の天野はな。
他に映画監督としても活動している加藤紗希、2025年8月紹
介『じっちゃ!』などの篠田諒。さらに剛力彩芽、板谷由夏
らが脇を固めている。
元々は「別府短編プロジェクト」の依頼で制作されたが、出
来上がったら上映時間1時間44分の長編映画になっていたそ
うだ。それが監督の意図だったかどうかは知らないが作品は
内外の映画祭への招待も勝ち取っている。
作中には本作のオーディションの模様も挿入されるなどメタ
フィクション的な色合いもあって、中々凝った作品になって
いる。しかもそこに水中洞窟などかなり不思議な風景も登場
し、それも物語にマッチして飽きさせない。
物語自体は監督の私小説のような感じもするが、そこにご当
地映画らしい観光要素もしっかりと織り込まれて、さすがベ
テラン脚本家の作品と言う感じにもなっている。しかも撮影
は現地7日と追加の1日のみ。
いやはや平伏しましたと言いたくなる作品だった。
公開は12月13日より、東京地区は渋谷のシアター・イメージ
フォーラム他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社MAPの招待で試写を観て投稿
するものです。
11月16日(日)
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