ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459552hit]

■愛はステロイド、ROPE、男神、キャンドルスティック、ディア・ストレンジャー、ラスト・ブレス、バレリーナ
トラウマ的なものも感じたものだ。
とは言え映画には主人公の母親が登場するものではなく、さ
らには年配者がほとんど出てこないのは、映画全体を象徴す
る思想があるようにも感じられる。でもそれらもほとんど明
確ではない。
さらには人探しのビラの張り紙というのは、最近ではほとん
ど見かけなくなったものだし、個人的な手段としてはSNS
の方が有効なものだろう。そこに敢えてビラというところに
も何らかの思いが感じられた。
そして全体的には背景世界はデストピアと主張されているよ
うで、それも明確な表現がある訳ではないが、全体の雰囲気
ではそんなイメージも湧いてくるところかな。そんな曖昧模
糊とした感覚の作品だった。
でも多分そんなところを面白いと感じてくれるファン層はい
そうな感じで、それなりのカルト的な評価を生みそうな作品
ではある。それが若い人にはアピールする所なのだろうし、
それを支えるだけの力量は感じられる作品ではあった。
公開は7月25日より、東京地区は新宿武蔵野館他にて全国順
次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社S・D・Pの招待で試写を観て
投稿するものです。

『男神』
2020年「日本(美濃、飛騨等)から世界へ!映像企画」に入選
し、YouTube での朗読が評判を呼んだという八木商店の原作
を基に、2018年12月23日付題名紹介『ソローキンの見た桜』
などの井上雅貴脚本・監督で描いた作品。
主人公は建設会社に勤める男性。数年前に妻が失踪し、男手
一つで息子を育てている。そんな主人公が担当する新興住宅
地の工事現場に謎の深い穴が出現、時を同じくして彼の息子
が行方不明になる。
この状況で穴に疑いを持った主人公は危険を顧みず穴に入っ
て行くが…。その奥には深い森が広がり、そこでは巫女たち
が息子を生贄として捧げる謎の儀式を行っていた。果たして
その危機から息子を救い出すことができるのか?
出演は2024年12月紹介『室町無頼』などの遠藤雄弥、元宝塚
雪組の彩凪翔、元King&Princeの岩橋玄樹、元SKE48の須
田亜香里。さらにカトウシンスケ、沢田亜矢子、加藤雅也ら
が脇を固めている。
仏教伝来以前の日本の古代信仰では深い洞穴は主には黄泉の
国への伝達路として数多く登場しているようだ。またそれは
異次元への通路であったり、タイムトンネルのように時間を
超える存在であったりもする。
そんな古代信仰に基づく伝承を踏まえた物語で、そこには生
贄が関ることも多いとされ、そこからの発展形として本作が
形作られているとは言える。そこに新興住宅地が絡むのは時
代の成り行きとしては有り勝ちだろう。
ただそこからの物語の展開が多少平板かな。現代の巫女や山
伏の登場は、彼らがどちらの側に付くか判らないだけにこの
辺はもっと丁寧に描いて欲しかった感じもする。本来なら穴
底の巫女たちに敵対するものではないだろう。
もし敵対するならその経緯や来歴もあったはずで、その辺の
曖昧さが個人的には少し物語に乗り切れない感じがした。そ
こらをしっかり描けばもっと面白くできたと思えるし、物語
全体が崇高になったかな。そんな感じのする作品だった。
まあ最後の一発撮りのアクションシーンはそれなりに面白い
ものにはなってはいたが…。
公開は9月19日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
渋谷他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社平成プロダクションの招待で試
写を観て投稿するものです。

『キャンドルスティック』
テレビ・映画で大活躍の阿部寛を主演に迎えて、FXとAI
の危うさを描いた日本台湾合作の経済アクションドラマ。
時代背景は2019年5月。平成から令和の改元に併せてネット
ワークの脆弱になるタイミングを狙って大掛かりな経済詐欺
が計画される。その主役は5年前に株価操作で検挙された元
は天才ホワイトハッカーと呼ばれた男。
彼は以前の仲間を再招集して5年前に彼を陥れた女性企業家
への復讐を目論む。そこに難民で無国籍の子供たちを支援す

[5]続きを読む

06月29日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る