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On the Production
by 井口健二
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■炎はつなぐ、ハオト、この夏の星を見る
デアを盛り込んだのは新趣向かな。昭和 100年という節目の
年の作品とも言える。
ただそのアイデアが生かし切れたかというと少し物足りない
感じもする。どうせならもっと明確にその辺を描いても良か
ったのではないかな。せっかくのアイデアが少し埋もれてし
まったようにも感じられた。
特にソ連との交渉はソ連の再参戦という歴史上の事実もある
訳だから、もっといろいろな捻りがあっても良かった感じも
した。それに第2のアメリカ兵の登場やそれに伴うアクショ
ンなどはテーマを損なう気もした。
未来との交信があるのなら、歴史改変とまでは行かないにし
てももう少し何かが描けたようにも感じられたものだ。でも
まあこういう話が増えているのは、自分としては嬉しいとこ
ろではある。
公開は8月8日より、東京地区は池袋シネマ・ロサ他にて全
国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社渋谷プロダクションの招待で試
写を観て投稿するものです。
『この夏の星を見る』
直木賞作家の辻村深月が2021−22年に新聞連載でもって発表
した文庫本で上下巻という長編青春小説の映画化。
時代背景は2020年。COVID-19禍に見舞われた茨城、東京、長
崎県五島の高等学校を巡って物語は展開される。それは疾病
の影響で部活動もままならなくなった校内では、その影響で
の苛めなども始まっていた。
そんな中で県外の旅行客を受け入れたことで級友から疎まれ
るようになった五島列島の旅館の生徒が、友達から山頂にあ
る天文台の見学に誘われる。そこでは見学会そのものは規制
されていたが、ある提案がされる。
一方、茨城県の学校では天文部が毎年の夏合宿で行っていた
手作り望遠鏡によるスターキャッチのイヴェントが出来なく
なり失望感が募っていたが、そこに五島の高校から問い合わ
せのメールが届く。
こうしてネットを通じてのスターキャッチの構想が高まり、
それに東京に帰省中に島に戻れなくなった転校生も加わって
全国規模でのイヴェントがスタートする。そんな高校生たち
の活動が描かれて行く。
出演は、2024年10月紹介『大きな玉ねぎの下で』などの桜田
ひよりと、モデル出身でドラマ出演もしている水沢林太郎。
さらに黒川想矢、中野有紗、早瀬憩、星乃あんな、和田庵、
萩原護、秋谷郁甫、増井湖々、安達木乃、蒼井旬。
また松井彩葉、中原果南、工藤遥、小林涼子、上川周作、河
村花、朝倉あき、清水ミチコ、堀田茜、近藤芳正、岡部たか
しらが脇を固めている。
脚本は東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻脚本領域修了
の森野マッシュ。監督は大阪芸術大学映像学科卒業で話題の
ドラマなども手掛ける山元環。共に映画デビューの気鋭が若
さ溢れる作品を作り上げている。
ようやくCOVID-19関連の作品が登場し始めてきたという感じ
の中で、本作は正面切って危機管理などを描くような大げさ
な作品ではないけれど、市井にあって本当に苦しんだ高校生
たちの姿をリアルに描いた作品と言える。
そしてそこに希望を描けたことも本作のあるべき姿という作
品だろう。しかもそこに天文学という科学がバックボーンと
して存在することにも、未来への夢が描ける作品だ。若い俳
優たちがしっかりと演じていることも素晴らしかった。
公開は7月4日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す
るものです。
06月08日(日)
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