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On the Production
by 井口健二
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■風に立つ愛子さん、けものがいる、ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男、うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生
の女性に指摘される。
そんな3つの世界が交錯し、彼女は過去のトラウマを直視す
ることで感情の消去を達成しようとするのだが…。
出演は上記のボネロ監督作品や2015年11月紹介『007/ス
ペクター』などのレア・セドゥ。2020年1月12日付題名紹介
『1917命をかけた伝令』などのジョージ・マッケイ。
他にアフリカ系俳優のガスラジー・ラマンダと、2015年3月
紹介『Mommy マミー』などのグザヴィエ・ドラン監督が共同
プロデューサーと声の出演も行っている。
原作がどういう内容かは知らないが、本作は問題なしのSF
作品に仕上がっている。とは言うもののSF映画として面白
いかというとちょっと微妙かな。狙いがSFにないことは確
かで、監督が敢えてSFっぽくしなかったのは理解する。
ただ何か肝になるものが物足りないかな。未来に対する何と
は無しの恐怖みたいなものが描かれていると思うけど、そこ
にもう少し具体性が欲しかった。そんな気分にさせられる作
品だった。
公開は4月25日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷
他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社セテラ・インターナショナルの
招待で試写を観て投稿するものです。
『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』
“Führer und Verführer”
プロパガンダの天才でナチスの宣伝相として総裁ヒトラーの
虚像を作り上げたヨーゼフ・ゲッベルスの姿を、残された音
声や様々な映像、そして傍証から推測される「したであろう
発言」を基に描いたドラマ作品。
映画の始まりは1945年3月20日。ヒトラーとユーゲントとの
面会の映像をチェックするゲッベルスは、総裁の指先の震え
を視認、その公開を禁止する。そして「これは事実」と反論
する部下に対し「真実は私が決める」と言い放つ。
このプロローグは正しくこの映画の本質を語るものだ。ここ
から映画は1938年3月15日のナチス=ドイツによるオースト
リア併合の時点に遡り、ヒトラーのウィーン到着を劇的に盛
り上げるゲッベルスの手腕が披露される。
そしてゲッベルスによるヒトラーの虚像生成の手口が繰り広
げられて行くものだが、その一方でゲッベルスが嵌った本妻
と愛人との愛憎劇や、それを利用しようとするヒトラー側近
たちとの確執なども描かれる。
その一方で戦況は徐々に悪化して行くのだが…。
配役は、ゲッベルス役に 100本以上の舞台と映画に出演して
ドイツ語圏で最も多彩な俳優の1人とされるロベルト・シュ
タットローバー。
ヒトラー役は舞台出身で1998年のヨーロッパ映画シューティ
ングスター賞に選ばれたというフリッツ・カール。そしてゲ
ッベルスの妻役に2005年ヨーロッパ映画シューティングスタ
ー賞受賞のフランツィスカ・ワイズ。
日本では馴染みのない名前が並んでいるが、何れも実力者揃
いの配役のようだ。
映画の中ではチェコスロヴァキアやソ連との関係で、当初は
外交で進めようとしていた交渉が武力行使の戦争へと進んで
行く様なども描かれ、日本の歴史教育では教えられない話も
いろいろと登場する。
そしてそれに並行してユダヤ人迫害へと至る道筋も描かれて
行くが、本作ではそのほとんどが台詞だけで描かれており、
従来の作品で多く見られたアウシュヴィッツの実際の様子な
どは描かれない。
それはゲッベルスの人物像を描くには不必要と見做されたの
だろうが、ユダヤ人重視の映画界では意外な感じもした。で
もこれが当事者であるドイツ映画人の見識なのだろう。ハリ
ウッド映画人の見識とは違うものだ。
公開は4月11日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アットエンタテインメントの招
待で試写を観て投稿するものです。
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2019年3月に他界した俳優織本順吉の最晩年を、織本の実娘
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02月02日(日)
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