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On the Production
by 井口健二
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■トランスフォーマー/ONE、忘れない、パレスチナの子どもたちを、国境ナイトクルージング、火の華、フード・インク ポスト・コロナ
今イスラエルが行っていることの矛盾も感じた。
そこからは空爆で犠牲になった子供たちの両親や兄弟姉妹た
ちによる証言が綴られて行くが、そこには悔しさや虚しさな
ど、哀しみに伴うあらゆる感情が表現されている感じもする
ものだ。
そしてその証言に併せて、子供たちの在りし日の姿も紹介さ
れる。そこでは夢や希望が語られ、また両親や兄弟姉妹への
想いも語られる。それが全て叶わなかったという現実を突き
付けられるものだ。
監督はパレスチナのムハンマド・サウワーフと、2011年2月
紹介『キラー・インサイド・ミー』などのマイクル・ウィン
ターボトム。映画製作はニュースで状況を知ったウィンター
ボトムがサウワーフに取材を依頼、送られてきた 100時間を
超える素材からウィンターボトムが編集したとのことだ。
また音楽を2019年5月紹介『荒野の誓い』などのマックス・
リヒターが手掛け、日本版のナレーションをミュージシャン
の坂本美雨が担当している。
映画の中では2021年5月の空爆では少なくとも67人の子ども
たちが亡くなったと紹介されるが、2023年10月7日に始まっ
たイスラエルの攻撃では、2024年5月現在で15,000人の子供
の命が奪われ、その戦闘は今も続いているものだ。
イスラエルは病院や学校を攻撃する度にハマスの拠点だと主
張するが、本作を観ていると攻撃が無差別であることも明白
だし、正にイスラエルによるジェノサイドと言えるものだ。
つまりアウシュヴィッツの復讐をしているものだ。
しかもこれを世界中が座視し、さらにはアメリカおよびその
追随国はイスラエルを支援してさえいる。2021年の東京五輪
にも影を落としたユダヤ人が支配する世界の恐ろしさも感じ
てしまう作品だった。
なお坂本美雨が担当する日本版のナレーションには疑義を唱
える人も居るかも知れないが、彼女は動物愛護や子どもの虐
待を無くす活動の発起者としても知られており、専門家では
ないのでうまい訳ではないが心の籠った語りだった。
それに本作の場合は、遺族らの証言に吹き替えはできないも
ので、字幕がかなり大量になっている。そこにさらにナレー
ションの字幕まで挿入する余地はなかったとも言える。しか
も日本版の制作に当っては本国から音響素材の提供も受けて
日本版のみ 5.1サラウンドの音響になっているそうだ。
そして本作の日本公開に当っては、配給会社から観客1人に
対して現金 100円をガザの子どもたちを支援する団体に寄付
することも表明されている。
公開は10月4日より、東京地区は kino cinéma新宿、アップ
リンク吉祥寺他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アップリンクの招待で試写を観
て投稿するものです。

『国境ナイトクルージング』“燃冬”
2013年の『イロイロぬくもりの記憶』でカンヌ国際映画祭の
カメラドール(新人監督賞)を受賞、さらに東京フィルメック
スでは観客賞を受賞した中華系シンガポール人監督=アンソ
ニー・チェンが初めて中国語で撮った作品。
物語の舞台は中国吉林省延辺朝鮮族自治州の首都延吉。北朝
鮮国境に位置する中国東北部辺境の町は、冬には最低気温が
零下20度を下回る極寒の場所だ。そしてそこには古くから朝
鮮族が居住し、異文化紹介の観光地にもなっている。
そんな場所で主人公は、観光客相手の1日観光を行うツアー
ガイドの女性。彼女はある事情から実家を飛び出し、1人で
辺境の町で暮らしているが、そこには断ち切れない過去も存
在しているようだ。
そして彼女が案内するツアーに1人の男性客が乗り込んでく
る。その男性は観光に興味があるようでもなく、何か別のも
のを求めているような感じもした。ところがその男性がスマ
ホを紛失したことから2人が接近する。
一方、彼女に想いを寄せる若者がいて、彼もまた故郷を飛び
出して親戚を頼ってその地にやってきたのだという。そんな
3人が巡り合い、極寒の辺境の町で普通ではない観光ツアー
=クルージングを始めるが…。
出演は、2011年5月紹介『サンザシの樹の下で』でチャン・

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09月15日(日)
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