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On the Production
by 井口健二
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■ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ、パスト ライブス/再会、あんのこと、流転の地球2、青春18×2君へと続く道
ゃれ合うように会話しながら住宅地の坂道を下校している。
2人は学校ではテストの成績で1位、2位を争っているよう
だ。
ところがそんな小学生の少女が両親と共にカナダに移住する
ことになる。そして彼女は「韓国人はノーベル文学賞を取れ
ないから」と言い置いて旅立ってしまう。
それから12年、ニューヨークで劇作家を目指して修行してい
る女性は、映画関係者の父親のFacebookにその娘である自分
を探しているという書き込みを発見する。こうしてネットを
介して再会を果たす2人だったが…。
脚本と監督のセリーヌ・ソンは2020年発表 “Endings”など
の舞台作品で評価されている他、ドラマシリーズのスタッフ
ライターなども手掛けており、すでに映画化の第2作も進行
中だそうだ。
出演はカリフォルニア出身の韓国系移民2世で、Netflix 配
信『ロシアン・ドール』などにも出演のグレタ・リーと、ド
イツ・ケルン出身韓国系のユ・テオ。それに2019年4月紹介
『オーヴァーロード』などのジョン・マガロ。
人生は選択の連続というのはよく言われることだが、今が幸
せと感じられるならそれはただの想像と片付けられる。でも
もしこの主人公たちのような立場になったら、想像を超えた
いろいろな思いが湧き上がってしまうことになりそうだ。
そんな思いがいろいろと湧き上がってくる作品。それは正に
純愛を呼べるのかな。そんな究極の恋愛ドラマとも言えそう
な作品だ。まあ韓国ならではの特殊事情のようなものもある
けど、それを超えるドラマにもなっている。
因に原題は「前世」という意味だが、作品の中では韓国語の
イニョン=縁(えにし)という言葉もキーワードとして登場す
る。でもそこまで言うとちょっと大げさかな、僕としては人
生の選択という程度で物語を捉えたいと思った。
公開は4月5日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ
オの招待で試写を観て投稿するものです。
『あんのこと』
2016年1月紹介『太陽』や2020年1月紹介『AI崩壊』など
の入江悠脚本/監督による2020年のCOVID-19禍を背景とした
実話に基づく社会派ドラマ。
主人公は覚醒剤中毒で、売春を生業としている20歳の女性。
母親と祖母との3人で団地暮らしだが、部屋に男を連れ込む
母親からは「シャブ打つ金があったら家に入れろ、もっと身
体を売って稼いで来い」と暴力を振るわれている。
そんな女性が警察に検挙される。それはホテルで相手をして
いた男が覚醒剤で昏倒したためだったが、その取り調べの席
で彼女は1人の刑事と巡り合う。その刑事は何くれとなく世
話を焼いてくれ、自ら主催する更生会にも誘ってくれた。
こうして少しずつ更生への道を歩み始めた彼女だったが…。
COVID-19禍が社会との繋がりを遮断し、さらに様々な出来事
が更生への道を阻んで行く。そんな彼女が辿り着いた最後の
居場所とは。
出演は2022年12月紹介『少女は卒業しない』などの河合優美
と、共演者に佐藤二朗、稲垣吾郎。さらに河井青葉、広岡由
里子、早見あかり。他に盛隆二、護あさならが脇を固めてい
る。
入江監督の作品は、2010年5月紹介『SRサイタマノラッパ
ー2』からそこそこ観て来ているが、どの作品も登場人物と
の距離感が絶妙な気がしていた。ところが本作ではその距離
感がめちゃくちゃ近い感じがする。
そこには主人公に寄り添おうとする監督の意思が感じられる
し、この作品を描くことへの使命感みたいなものも感じるも
のだ。そのくらいにこの作品を描くことへの重要性も感じて
いたのだろう。
それはオリンピックイヤーの2020年=COVID-19禍という時代
に起きた事件ではあるけれど、EXPO2025を控えた今の時代に
も共通する閉塞感みたいなものが事件を引き起こした、そん
な感じにも捉えられる作品になっていた。
社会に対する言いようのない不満、そんなものも感じられる
作品だ。そして監督は、それを観客に感じさせることに成功
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02月04日(日)
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