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On the Production
by 井口健二
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■ロッタちゃん、アイアンクロー、ブルックリンでオペラを、辰巳、追悼:南部虎弾氏
レスラーとして名を成した人物。しかしテキサスを本拠にし
ていた彼の団体は全国的にはマイナーな存在だった。そこで
フリッツは我が子に世界チャンピオンの夢を託す。
そんな一家に次男として生まれたケビンは鍛錬を重ねて見事
テキサス州チャンピオンの座に就くが父親の満足は得られな
い。そして三男デビッド、四男ケリーも参戦し、父親は後続
の2人に期待を寄せ始める。
それでも懸命に兄弟を支援して行くケビンだったが、デビッ
ドが世界チャンピオンへの挑戦を間近にした時、悲劇が一家
を襲う。そしてその後を継いだケリー、さらに五男のマイク
にも連鎖のように悲劇が見舞って行く。
「呪われた一家」という悪名、それは元はと言えばフリッツ
が本名を捨て祖母方の姓フォン・エリックを名乗った時から
始まったとされるものだったが…。
出演は、2016年11月20日付題名紹介『ダーティ・グランパ』
などのザック・エフロンが驚異の肉体改造で主演の他、ドラ
マ『ER』で看護師アビー役のモーラ・ティアニー、2019年
8月紹介『イエスタデイ』などのリリー・ジェームズ。
さらにジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンス
ン、スタンリー・シモンズ、ホルト・マッキャラニーらが脇
を固めている。
僕自身のプロレスの記憶は1960年代の力道山で途切れている
ものだが、それでも「アイアンクロー」という技の名前は聞
き覚えがあったから、それほど有名だったのだろう。とは言
えその一家の悲劇などは知らなかった。
それはこれでもかと言うほどの悲劇の連続だが、そんな中で
も必死に生きて兄弟を支え続けたケビンの姿には、正しく家
族の絆というものを教えてくれた。今や家族という概念も希
薄になりつつある現代に、一石を投じるとも言える作品だ。
因に劇中の主人公らの行く先々でローンスター旗が振られて
いるのは納得できる風景だった。それにチャンピオンベルト
に日の丸が描かれているのも成る程と思わせた。そんな日本
にも所縁の深い作品だ。
それにしてもエンディングが心に沁みる作品だった。
公開は4月5日より、全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を
観て投稿するものです。
『ブルックリンでオペラを』“She Came to Me”
アメリカを代表する劇作家アーサー・ミラーを父に持つ監督
レベッカ・ミラーが脚本を執筆、その脚本にほれ込んだアン
・ハサウェイが出演とプロデューサーも買って出たちょっと
捻りのあるラヴコメディ?
主人公は新作を期待されながらも5年間スランプ中のオペラ
作曲家。そのパートナーは患者の途絶えない人気の精神科医
だが極度の潔癖症。それでも彼女の連れ子の息子と3人の生
活は円満だった。
ところが彼女の勧めで犬を連れた当て途の無い散歩に出かけ
た主人公は、ふと立ち寄ったバーでタグボートの女船長と巡
り合う。そしてその船に招かれた主人公に怒涛のような展開
が襲い掛かる。それは新作オペラのヒントにもなるが…。
主演はドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』でエミー賞4度
受賞のピーター・ディンクレイジ。共演には2008年8月紹介
『その土曜日、7時58分』などのマリサ・トメイ。さらに
ブライアン・ダーシー・ジェームズ、ヨアンナ・クーリクら
が脇を固めている。
また劇中披露される2曲の現代オペラを、クラシック作曲家
であり、ロックバンドの創設メンバーでもあってその両方で
グラミー賞を受賞というブライス・デスナーが担当。さらに
主題歌はブルース・スプリングスティーンが手掛けている。
映画の前半では現代社会の病巣とも言えるいろいろな事象が
次々に開示され、かなり厳しい物語になるのかなとも思わせ
るが、途中からは正に怒涛の展開。特に結末にはニヤリとさ
せられた。
それにしても前半の展開には、昨年最後に紹介した作品ほど
ではないにしてもかなりアメリカの闇が見える感じで、これ
は日本にも通じるものだが、本作はそれらを一気に笑い飛ば
している感じなのかな。
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01月28日(日)
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