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On the Production
by 井口健二
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■オペレーション・フォーチュン、法廷遊戯、私はモーリーン・カーニー、キリエのうた
彼女』などの北村匠海。他に柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、
大森南朋らが脇を固めている。
脚本は2015年テレビドラマ『流星ワゴン』などの松田沙也。
監督は2008年7月紹介『真木栗の穴』などの深川栄洋が担当
した。
いやはや、事件の真相が二転三転、さらに四転五転して行く
展開には驚かされた。しかもそれがほんの一瞬の映像で明ら
かにされて行くのだから…。上映時間は97分の作品だが、正
にスクリーンに釘付けになるという感じだった。
そしてそれはある意味、日本の司法制度の問題点を暴き出す
ような展開なのだから、これはアイドル主演の作品とは言う
ものの、相当の問題作と呼べるかもしれない。さすが現役弁
護士の原作というところなのだろう。
とは言うもののアイドルのファンにも充分納得して観て貰え
る作品になっているところも、見事と言えるものだった。
公開は11月10日より、全国ロードショウとなる。

『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』
                  “La syndicaliste”
フランスの国策原子力企業アレヴァの労働組合委員長だった
女性が自宅でレイプされ、しかも捜査中には自作自演として
逆に訴追されるというスキャンダラスな実話を、2023年2月
紹介『EOイーオー』などのイザベル・ユペール主演で映画
化した作品。
映画は郊外の住宅に警察隊が捜査に入るところから始まる。
そこではその家に住む女性が手足を粘着テープで椅子に拘束
され、股間にナイフの柄を突っ込まれているというおぞまし
い姿で発見されていた。
そこから話は数年前に遡る。女性の名前はモーリーン・カー
ニー、原子力企業アレヴァの労働組合委員長で海外にも展開
する会社の各国を回って、それぞれの国での特に女性の労働
環境の向上に尽力している。
そんな彼女はアレヴァの女性社長とも多くの話し合いの場を
持ち、労使の関係は良好だった。ところがその女性社長が更
迭され、後任には政府との繋がりの深い男性がやってくる。
しかしその陰には大きな陰謀が隠されていた。
そしてその陰謀を告発する手掛かりを入手したとき、彼女に
レイプ事件が降りかかる。ここから物語は後半戦となり、警
察から憲兵隊に委ねられた事件は、彼女の自作自演という意
外な展開にもつれ込む。
共演は2018年6月3日題名紹介『グッバイ・ゴダール!』な
どのグレゴリー・ガドゥボア、2010年7月紹介『プチ・ニコ
ラ』などのフランソワ=グザビエ・ドゥメゾン、2023年1月
紹介『エッフェル塔〜創造者の愛〜』などのピエール・ドゥ
ラドンシャン。
さらに2014年1月紹介『ラッシュ/プライドと友情』などの
アレクサンドラ・マリア・ララ、2014年6月15日付「フラン
ス映画祭2014」で紹介『友よ、さらばと言おう』などのジル
・コーエン、コメディ女優のマリナ・フォイス、2009年12月
紹介『ニューヨーク、アイラブユー』に監督として参加のイ
ヴァン・アタルらが脇を固めている。
映画の前半では原子力政策をめぐる国家的陰謀が描かれ、後
半ではその陰謀を暴こうとした主人公が犯罪者に仕立て上げ
られる過程が描かれる。そして結末では無罪となるが、そこ
で主人公は追及を断念する。
それは追及を続ければ自らや家族の命が危なくなるからであ
り、そんな国家規模の陰謀が描かれた作品だ。しかも全てが
実話という。正しく政治の闇が描き尽くされた作品と言えそ
うだ。
公開は10月20日より、東京地区は渋谷宮下のBunkamura ル・
シネマ他にて全国順次ロードショウとなる。

『キリエのうた』
2016年1月紹介『リップヴァンウィンクルの花嫁』などの岩
井俊二監督が、今年6月に解散したガールズグループBiSHの
元メムバー=アイナ・ジ・エンドを主演に迎えて、石巻、大
阪、帯広、東京を舞台に描く現代に生きる男女4人のヒュー
マンドラマ。
アイナが演じるのは歌っている時にしか声が出せない障碍を
持つ女性歌手キリエ。そんな歌手が路上ライヴを行っていた
時、通りかかった派手な衣装の女性イッコが声を掛ける。そ

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08月06日(日)
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