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On the Production
by 井口健二
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■兎たちの暴走、BAD LANDS バッド・ランズ、ジャン=リュック・ゴダール反逆の映画作家、ダンサー イン Paris、こいびとのみつけかた
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『兎たちの暴走』“兔子暴力”
2020年の東京国際映画祭でプレミア上映された中国女性監督
シェン・ユーによる長編第1作となるドラマ作品。
物語の舞台は四川省攀枝花市。重工業が盛んなこの町の高校
に通う女子学生が主人公。実母は彼女が生まれてすぐに町を
出て行き、後妻の継母からは少し疎まれているが、学校には
仲間もいてそれなりの青春を過ごしている。
ところがそこに実母が帰ってくる。ダンサーでもある実母は
閉館した劇場に居を構え、何やら始めようとしているが…。
そんな母親に主人公は接近して行く。それに対して実母も、
最初は少し疎んじていたが徐々に心を開き始める。
こうして学校での仲間2人も加えた4人の女性たちで騒がし
くも楽しい時間が過ぎて行くが。実母を追ってきたらしい男
の出現が暗い影を落とし始める。
脚本と監督のシェン・ユーは1977年の上海生まれ。北京電影
学院を卒業し、過去にはNHK製作のドキュメンタリー番組
にも関ったという監督の2016年に応募した脚本が、支援プロ
グラムに入選。中国監督協会の助成で製作された。
出演は、2000年生まれで15歳でデビュー、多くのドラマ作品
に出演しているリー・ゲンシーと、1982年生まれ、2014年に
出演の作品で第51回金馬奨の助演女優賞を受賞しているワン
・チェン。
他に多くのドラマに出演のシー・アン、本作がデビュー作の
ヂォゥ・ズーユェとチャイ・イェ。さらにホァン・ジュエ、
パン・ビンロン、元アイドルグループのリーダーというユウ
・ガンインらが脇を固めている。
物語は2011年に起きた実際の事件に基づいているということ
で、従って骨子などは変えられないのだろうが、正直に言っ
て結末には別の手を加えて欲しかったかな。どうせなら劇中
話される都市伝説に沿ったファンタシーでも良かった。
でもまあこの残酷さがリアルなのだし、これを描き切ること
が映画の役割と言われればその通りなのだが…。ここまでの
過程で物語として描くべきものは充分に描かれていると思え
るし、映画としての役割は果たしていると思える。
本作は飽くまでもフィクションであってドキュメンタリーで
はない。国家犯罪でもなく、彼女らにも酌量の余地も多い。
F・W・ムルナウ監督の『最後の人』のように、無理矢理の
結末でも真意は伝わる。それも映画の描き方だと思う。
公開は8月25日より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺
同26日より新宿K'cinemaにて、以降、全国順次ロードショウ
となる。
『BAD LANDS バッド・ランズ』
2014年上半期の直木三十五賞を受賞した黒川博行が2015年に
発表した小説『勁草』を、2011年12月紹介『わが母の記』な
どの原田眞人が脚色監督、2012年7月紹介『かぞくのくに』
などの安藤サクラを主演に招いて映画化した作品。
主人公は左耳に障碍を持ちながら社会の底辺で生きる女性。
過去には様々な法に触れる仕事もしてきており、現在は特殊
サギ集団で三塁コーチと呼ばれ、警察の動きなどを察知して
最後に実行の判断を下す重要な役割を担っている。
一方、そんな特殊サギ集団を追う警察はいくつかの現場の映
像から1人の女性の関与を判断する。その決め手は女性が左
耳に障碍を持つらしい行動だった。そしてもう1組、左耳に
障碍を持つ女性を探す組織がいた。
こんな三つ巴の状況の中で、主人公は少し異常な粗暴性を持
つ義理の弟と共に集団が集めた金の在りかを探す。しかしそ
の先には警察や彼女を追う組織などの障壁が立ちはだかる。
果たして彼女らの運命は…。
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07月30日(日)
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