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On the Production
by 井口健二
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■妖怪の孫、NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇、ノートルダム炎の大聖堂、aftersun/アフターサン、THE WITCH/魔女-増殖-
の、恐らくバンドのファンには嬉しい作品なのだろうが、部
外者には少しハードルが高いかな。もちろん破天荒なミュー
ジシャンの生き様は垣間見られるが…。
なお当初企画されたライヴの映画も鋭意制作中だそうで、本
作はその姉妹編という位置づけのようだ。従って本作は特典
映像のようなものとも言える訳で、本編が完成したら是非見
せて貰いたいと思っているところだ。
なお出演者には不破、佐々木を始め、日本のジャズ界を彩っ
た錚々たるメムバーが顔を揃えているようだ。
公開は4月1日より、東京は新宿K's cinema他にて全国順次
ロードショウとなる。
『ノートルダム炎の大聖堂』“Notre-Dame brûle”
2019年4月15日、パリのシテ島に建つ聖堂を襲った災害を、
1981年『人類創生』などのジャン=ジャック・アノー監督が
綿密な調査に基づき、IMAX、Dolby Atmos の大迫力で再現し
た実録ドラマ。
災害自体は全世界で報じられたものだが、その現場ではどの
ような事態が起きていたのか。それらが巨大なセットで在り
し日の姿を再生した内部の様子や、CGIも駆使した見事な
映像で再現される。
さらに撮影では現地の周辺でのロケーション撮影は基より、
一部のシーンは現在も修復作業が進む現場での撮影も特別許
可で実施されたそうだ。そんな正しく渾身と言える映像が展
開される。
出火の原因は現在も特定はされていないようだが。本作では
漏電や作業現場での火の粉、さらにタバコの火の不始末や小
動物の介在まで、想定される状況が矢継ぎ早に提示されて、
観客の想像力とサスペンスを盛り上げる。
そして初動の遅れやシテ島での消火栓の不足など現実的な災
害発生の問題点も指摘される。実際に外部からの通報で消防
が動き始める状況や交通渋滞の様子など、災害の拡大の原因
も数多く指摘される。
このように映画では未来に向かっての警鐘なども描かれるも
のだが、映画が本当に描くのはその後にくる人間たちに活躍
の物語だ。そこには敢えて無名とされる消防士たちの身を挺
した活動が描かれる。
実はこの火災では、消防士など人的被害が殆んどなかったこ
とが事実として知られているものだが。にも拘らず聖遺物の
「いばらの冠」を始め膨大な数の歴史品の救出や鐘楼を守り
抜く様子には、正にサスペンスを追体験する感覚で見入って
しまった。
そしてその活動を見守る人々の様子では、SNSで募集され
たスマホなどで撮影された映像も実に巧みな手法で画面に挿
入される。特に群衆が讃美歌を合唱する姿には感動が極致に
高まる感覚も覚えたものだ。
その一方で、アーカイブ映像で描かれるマクロン大統領登場
のシーンでは、この人は本当に国民の信頼を得ていないのだ
なあという感覚も見事に描かれていたものだ。これも実話な
のだろうが。
公開は4月7日より、IMAXシアターの他にも全国の劇場にて
ロードショウされる。
『aftersun/アフターサン』“Aftersun”
1987年スコットランド生まれのシャーロット・ウェルズ監督
が、1990年代のトルコのリゾート地を背景に少女の成長を描
いた作品。
登場するのは11歳の少女と31歳の父親。普段は別々に暮らし
ているらしい2人は、娘の最後の夏休みを2人だけで過ごす
ためにその地にやってくる。ところがツインで予約したはず
のホテルの部屋がダブルベッドで用意されていたり…。
それでも父親が補助ベッドで寝るなど、何とかリゾート気分
には浸り始める。そして父親は持ってきたヴィデオカメラで
2人の旅を記録し始める。そんな父親を少し疎ましく感じな
がらもリゾート地を満喫する娘だったが。
出演は本作でオスカー・ノミニーとなったポール・メスカル
と、本作が映画デビュー作のフランキー・コリオ。他に振付
師で映像作家でもあるセリア・ロールソン・ホールらが脇を
固めている。
物語は、本作が長編デビュー作という女性監督の自伝的要素
もあるようだが、自分が娘を持つ父親としては物語の構成自
体に違和感を持ってしまう。おそらく自分ではこのように娘
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03月12日(日)
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