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On the Production
by 井口健二
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■ペーパーシティ―東京大空襲の記憶、マッシブ・タレント、せかいのおきく、独裁者たちのとき、日の丸〜寺山修司40年目の挑発〜
その仕事にスターは背に腹は替えられずでOKしたが、実は
その富豪はケイジの大ファンで、意気投合した2人は富豪が
書いた脚本での映画の制作を検討し始める。ところがそこに
CIAが参入。実は麻薬組織の元締めとされる富豪をスパイ
する任務がスターに要請される。
こうしてスターの経験を活かした(?)スパイ活動が開始され
るが…。元メイクアップアーチストの妻や娘も巻き込んで、
事態は最悪(?)の方向に進んで行く。銃撃戦に格闘技、ドタ
バタからカーアクションまで、オマージュやパロディも満載
の作品だ。
共演は、2017年2月紹介『グレート・ウォール』などのペド
ロ・パスカルと、テレビ界で脚本家・プロデューサーとして
も活躍するシャロン・ホーガン。
さらに2002年9月紹介『ダウン』に出ていたというアイク・
バリンホルツ、2012年のウディ・アレン監督『ローマでアモ
ーレ』で助演女優賞受賞のアレッサンドラ・マストロナルデ
ィ、2019年2月紹介『ハンターキラー』などのジェイコブ・
スキーピオ。
またTVシリーズ『天才少年ドギー・ハウザー』でブレイク
したニール・パトリック・ハリス、2018年9月16日題名紹介
『アンクル・ドリュー』などティファニー・ハディッシュ、
マイクル・シーンとケイト・ベッキンセールの娘のリリー・
シーンらが脇を固めている。
実は映画の中に主人公にいろいろ忠告するニッキーという存
在がいて、これがニコラス・ケイジを若返りFXでデビュー
当時の容姿にしたもの。その配役が日本では2役とされてい
るがクレジットではNicolas Kim Coppola になっていた。
この名前はケイジのデビュー当時のものなのだが、その後に
彼は偉大な伯父の名を嫌って改名してしまう。そんな名前を
あえて使ったのは、初心に戻るという意味もあるのかな。も
っともこのニッキーはかなり嫌味な奴だったが。
この他にクレジットではスタッフ欄に COVID…という項目が
多数あって、ハリウッドでも感染対策にはかなり気が使われ
ていたことが窺い知れた。ロケ地などでもそれぞれ相当の対
策が講じられていたようだ。
そんな周到な準備の上で、最上級のエンターテインメントが
繰り広げられた作品と言えそうだ。上記のスマッシュヒット
を記録したという文言も納得できる。
公開は3月24日より、東京は新宿ピカデリー、渋谷シネクイ
ント、グランドシネマサンシャイン池袋、アップリンク吉祥
寺他にて全国ロードショウとなる。

『せかいのおきく』
2016年4月紹介『団地』などの阪本順治監督が、2015年11月
紹介『母と暮らせば』などの黒木華を主演に迎えて、江戸時
代末期の庶民の生活を描いた監督初の時代劇作品。
黒木が演じるおきくは武士の娘。父親は主家の不祥事に巻き
込まれたらしく、父子で貧乏長屋に暮らしている。そんなお
きくが寺の厠の軒先で雨宿りしていた紙屑拾いの中次と出会
う。その瞬間から惹かれ合う2人だったが…。
その軒先にはもう1人、汚穢屋の矢亮も雨宿りしており、矢
亮は中次を紙屑拾いより実入りの良い汚穢屋稼業に誘う。こ
うしてコンビを組んだ2人は、江戸の町で買った汚穢を千葉
の百姓に売る稼業に精を出す。
しかし突然、おきくを悲劇が襲う。
共演は、2022年9月紹介『月の満ち欠け』などの寛一郎と、
2010年9月紹介『信さん』などの池松壮亮。他に真木蔵人、
佐藤浩市、石橋蓮司らが脇を固めている。
僕の幼い頃には、東京湾を汚穢船が航行していたし、お盆に
両親の田舎に帰省すれば田圃に野壺もあって従兄弟が落っこ
ちたりもしたから、本作の物語はある意味自分の原風景でも
ある。
また物語には落語の長屋物のような雰囲気もあって、かみさ
んたちの会話や人情、また長雨のエピソードなど、落語好き
にも楽しめるものになっている。そしてそれらを京都撮影所
(東映・松竹)のスタッフが丁寧に映像化している。
特に全編をモノクロで描き、要所にすっとパートカラーが挿
入される映像も素晴らしく感じられた。ただ最後のシーンは

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01月29日(日)
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