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On the Production
by 井口健二
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■BAD CITY、I AM JAM、at Baywalk、SILENT NIGHT
今回はちょっと悪ふざけが多すぎるというか、活弁が物語に
介入し過ぎで、気になるところが多かった。
特に本作では、物語の中では行方不明となったピザのピース
が主人公を冒険に誘うのだが、そのピザの小道具がぶ厚過ぎ
たり、サイズがおかしかったり、それを弁士が言い訳という
かギャグにしてしまうのは本末転倒だろう。この辺はしっか
りと映像の中だけで始末をつけるべきものだ。
この他にも映像の不始末を弁士が補っているような感じが、
正直に言って無声映画をバカにしているような感じにもなっ
て気になった。もっと映像だけで勝負の出来る無声映画にし
て欲しかったものだ。
出演は、辻監督が演じる主人公の他にきばほのか、長野こう
へい、黒住尚生、瓜生和成。さらに塚地武雅、間寛平らが脇
を固めている。
公開は11月25日より京都みなみ会館で先行上映の後、東京は
12月3日からポレポレ東中野他にて全国順次ロードショウと
なる。なお公開では、活弁付きのものと予め活弁を収録した
ものとの2ヴァージョンがあるようだ。
『at Baywalk ベイウォーク』
退職者ビザ制度に基づきフィリピンで暮らす4人の日本人を
追った『なれのはて』という作品で、2020年の東京ドキュメ
ンタリー映画祭のグランプリを受賞した粂田剛監督が、その
作品では割愛された2人の人物について描いた作品。
僕は残念ながら前作を拝見していないが、元暴力団組員、元
トラック運転手、元警察官、元証券マンという4人が、それ
ぞれの理由でフィリピンに暮らしている姿を追ったものだそ
うで、「困窮邦人」とも呼ばれる厳しい生活ぶりが描かれて
いたようだ。
その生活の根拠となる退職者ビザ制度というのは世界20カ国
以上で発行が行われ、本国での退職者が所定の条件を満たせ
ば移住が認められるというものだそうで、定年後に海外移住
をするには適切な手段とされる。そして制度を持つ国の中で
フィリピンは最も条件が緩やかなのだそうだ。
そんな訳でフィリピンには2016年の統計で4万5千人以上の外
国人が暮らし、その中で日本人は約2000人だとされる。しか
し全体の状況は判らないものの、日本人の中にはスラム街で
暮らす困窮者は多いようで、そんな暮らしぶりを描いたのが
前作とされる。
そして本作では、フィリピンの首都マニラで夕陽の名所とさ
れる「ベイウォーク」を舞台に、海岸でホームレスとして暮
らす元裏社会にいたと称する男性と、日本の年金を貰いなが
ら、より楽しい生活を求めて海岸近くの高層マンションに移
住してきた男性が描かれる。
ここでホームレスの男性は、同様にホームレスのフィリピン
の人たちと交流して暮らし、互いに助けられたり助けたりの
生活をしながら、それでも彼をこの場所に流れ着かせた元凶
のような日本人に対しても何かもう一旗揚げたいような…。
そんな暮らしぶりが描かれている。
その一方でマンション暮らしの男性は、フィリピン人は信用
できないと語りながら、それでもちょっとした事業に手を出
し、結局は上手く行かない状況を描いて行く。結局この2人
は日本にいても同様の失敗を繰り返していたのだろうと思わ
せるところが哀れとも言えるものだ。
公開は12月24日より、東京は新宿K's cinema他にて全国順次
ロードショウとなる。
『SILENT NIGHT』“Silent Night”
2003年8月紹介『パイレーツ・オブ・カリビアン』などのキ
ーラ・ナイトレイと、2019年11月10日題名紹介『ジョジョ・
ラビット』などのローマン・グリフィン・デイヴィス、それ
に2017年7月30日題名紹介『プラネタリウム』などのリリー
=ローズ・デップらの共演で、ある状況に置かれた家族の絆
を描いた作品。
その状況は映画チラシにも載っているが、本編では当初は隠
されていて、映画の進行に従って徐々に明らかにされるよう
になっている。そこで映画は、クリスマスの聖なる夜に複数
の家族が一軒の家に集まってくるところから始まる。彼らに
は豪華な食事が用意され、その後にあることが待っているよ
うだ。
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10月09日(日)
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