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On the Production
by 井口健二
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■愛国の告白−沈黙を破る・Part 2−
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『愛国の告白−沈黙を破る・Part 2−』
2019年2月10日題名紹介『福島は語る』などの土井敏邦監督
が、監督のライフワークであるパレスチナ・イスラエル問題
を描いたドキュメンタリーの最新作。
2004年に元イスラエル国防軍の将兵グループが「沈黙を破る
−戦闘兵士がヘブロンを語る−」という写真展をテルアビブ
で開催。その活動を取材した2009年土井監督の映画『沈黙を
破る』は同年のキネマ旬報ベストテン文化映画部門の第1位
に輝いた。本作はそれから13年を経た現状を描くものだ。
とは言うものの、その現状は全く変わらないというより悪化
しているもので、そんな現状が13年の経た元将兵たちへのイ
ンタヴューや、その後も土井監督が続けてきた現地での取材
の映像と共に描き出される。そこには元将兵たちへの国家か
らの弾圧や、家族との確執なども語られる。
そしてそこには、占領軍によるパレスチナ人に対する悪辣な
行為や正に人権を無視する狂気の実態も語られるが、それら
が愛国という言葉の許に正当化され、それが正義として称え
られて行くという…。正に無知蒙昧という感覚の現実が描か
れて行く。
実は試写会の後に監督の挨拶があって、そこでは「これを日
本人に見せて何の意味があるのか、という意見もある」との
発言もあったが、同様の不正が愛国という言葉の許に正当化
され正義とされている現状は、福島原発問題を含めて日本で
も散見されると思うのが自分の感覚だ。
さらに敢えて言うなら、中国で応召しシベリアで抑留された
元日本兵であった自分の父親が、生前戦争のことはほとんど
話さなかった中で、南京大虐殺の話題に触れてそれに似たこ
とは目撃したと語ったことがあり、占領軍であった日本兵も
同様だったことは、日本人として理解すべきと感じた。
そんな中で、本作の後半のガザ地区の映像では一瞬野良猫の
写るシーンがあり、その野良猫の痩せこけた姿が、自分の中
では先週観た韓国映画の野良猫と対比されて、現状の過酷さ
がより如実に理解できる感じもした。こんなことがウクライ
ナを始め世界中で起きているのが現状だろう。
公開は11月19日より、東京は新宿K's cinema他にて全国順次
ロードショウとなる。
10月02日(日)
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