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On the Production
by 井口健二
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■サハラのカフェのマリカ、劇場版ねこ物件、失われた時の中で
雄輝がテレビシリーズに続いて主演の他、長井短、竜雷太ら
が共演。さらに細田佳央太、上村海成、本田剛文、松大航也
らが脇を固めている。
また2022年『ウルトラマントリガー エピソードZ』などの
金子隼也、2019年の主演作でマドリード国際映画祭・最優秀
外国語映画主演女優賞受賞の山谷花純らも登場する。
実は僕はテレビシリーズを観ていなくて、物語的にはあまり
思い入れはなかったのだが、本作では上述したミステリアス
な展開もあって、それなりに楽しむことはできた。いずれに
しても猫の愛らしさが楽しめればよい作品ではある。
ただ綾部監督では、4月紹介作品もテレビとは少し違うテイ
ストだったがその辺はどうなのかな。まあテレビと劇場版と
は違うコンセプトというのも理解はするが、その辺は視聴者
の考え方次第だろう。
公開は8月5日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロード
ショウとなる。
『失われた時の中で』
2011年8月紹介『沈黙の春を生きて』や2018年8月5日題名
紹介『モルゲン、明日』などの坂田雅子監督が、2008年公開
の『花はどこへいった』と『沈黙の春を生きて』に続けて三
度、枯葉剤の現実を描くドキュメンタリー。
監督が枯葉剤と向き合う切っ掛けとなったのは、ベトナム帰
還兵であった夫グレッグ・デイヴィスの枯葉剤の影響とみら
れる肝臓がんによる死だったが、前2作ではその点は深く描
かれていなかった気がする。
しかし本作では、フォトジャーナリストだったデイヴィス氏
が遺した作品や手記なども挿入され、監督がようやくそれに
向き合えるようになったのかな。と思うと、感慨というか、
少しほっとした気持ちにもなれた。
それはさておき本作では、監督が2011年の災害以降に原発と
核の問題を追っていた期間に起きた枯葉剤のその後が描かれ
る。それは前作の取材で出会った被害者一家との再会や、フ
ランスでの新たな裁判など多岐に渉る。
しかしそれでも枯葉剤の問題が全く進展していないことには
愕然とさせられる。ただ最大の被害国であるベトナムの家族
で、老いた母親が自分の後は社会に任せられるとしているこ
とは、共産国の優等生である国家のおかげなのかな。
これに対して未だに責任を認めない合衆国や福島の後始末も
できない日本の現状は、いったい何が違うのだろうと思わさ
れる。その一方で被害に遭った子供の体躯が、10年経っても
ほとんど変わっていないことは衝撃だった。
10年経って何も変わっていないのが現実だろう。そして戦争
が今も続いていることも現実。これらを締めくくるように挿
入されるグレッグ・デイヴィス氏の言葉が胸に突き刺さって
くるものだった。
因に本作の英語題名は“Long Time Passing”。 これは監督
の第1作の題名の元となったフォークソングの歌詞の続きだ
が、本作に込めた思いのようにも感じられた。
公開は8月より、東京はポレポレ東中野他で全国順次ロード
ショウとなる。前2作の公開は神田の岩波ホールだったが、
同館が閉館することも改めて考えさせられた。
06月12日(日)
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