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On the Production
by 井口健二
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■劇場版おいしい給食🌸卒業🌸、映画はアリスから始まった(モガディシュ、シェイン、私のはなし、オフィサー、わたし達は)
これに対して本編にも引用されている上記のギイの作品は、
ゴーモンのカタログでは1900年製作とされているもので、内
容も物語の一部を切り取ったようなもの。これを劇映画とす
るには少し覚束ないものだった。
実際にこのような物語の断片程度の作品は、メリエス監督の
1896年のフィルモグラフィにも散見される。
ところが上記の作品を web上で観ていたら、続けて“La fée
aux choux Sage femme de première classe”という作品が
出てきて、これには1896-ALICE GUYと銘打たれている。しか
もこの作品では、登場したカップルがキャベツ畑の赤ちゃん
を手にするまでの物語が描かれていた。
従ってこの作品を以ってアリス・ギイを史上初の劇映画監督
と認定することは可能だが、この辺の経緯が本作の中では少
し曖昧なのは気になった。というか本作の全体が監督の生涯
より、その証拠を発見する旅を描くのに注力されているよう
で、その点も気になったものだ。
勿論それは新たな発見の度に感動があったりもして、それが
観客の興味を引っ張るように作られてはいるが、僕はもっと
資料を整理して、アリス・ギイ本人の業績を明確にする作品
が観たかった。
とは言え、本作の中でもセルゲイ・エイゼンシュテインから
アルフレッド・ヒッチコック、マーティン・スコセッシに至
る映画人がアリス・ギイの影響を受けたとする文献や証言も
登場して彼女の偉大さが証明される。その点は納得した。
監督はパメラ・B・グリーン。ニューヨーク出身で映像会社
を創設し、長編映画のタイトルやミュージック・ヴィデオ、
コマーシャルなどを手掛けて来ての長編デビュー作だ。
ナレーションをジョディ・フォスターが担当。他にもアニエ
ス・ヴァルダ、ピーター・ボグダノヴィッチ、ジュリー・デ
ルピー、ジーナ・デイヴィス、ベン・キングズレーら錚々た
る顔ぶれが登場して彼女の偉大さを語っている。
公開は7月22日より、東京はUPLINK吉祥寺他で全国順次公開
となる。


この週は他に
『モガディシュ 脱出までの14日間』“모가디슈”
(1990年、ソマリアでの内乱に巻き込まれた外交官を描き、
2021年度韓国映画bPヒットを記録したという作品。1988年
ソウル五輪の成功で勢いに乗る韓国政府は国連加盟を目指し
てアフリカでロビー活動を進めていた。そのさ中に内乱が勃
発、首都モガディシュも民衆の蜂起に見舞われ、外交特権も
無視する暴徒が各国の大使館にも襲い掛かる。そして大韓民
国大使館には、朝鮮人民共和国の大使館員らが逃げ込んでく
る。物語は事実に基づくとあるが…、いやはや。本作が文在
寅政権の意向に沿うものであったことは間違いないところだ
ろう。そういう作品がbPのヒットになるというのも凄いこ
とだ。監督は2011年2月紹介『生き残るための3つの取引』
などのリュ・スンワン。出演者には2018年7月紹介『1987、
ある闘いの真実』などのキム・ユンソクや、2010年10月紹介
『黒く濁る村』などのホ・ジュノらが名を連ねている。公開
は7月1日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショ
ウ。)

『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』
  “Crock of Gold: A Few Rounds with Shane MacGowan”
(アイルランド伝統のケルト音楽にパンクロックを組み合わ
せたアイリッシュ・パンクを創造し、1987年にイギリスで最
も愛されたクリスマスソングとされる『ニューヨークの夢』
を発表したバンド、ザ・ポーグスのフロントマンで、作詞・
作曲も手掛けるシェイン・マガウアンに焦点を当てた2020年
本国公開のドキュメンタリー。彼と30年来の付き合いという
ジョニー・デップが製作とインタヴュアーも務め、イギリス
でミュージックヴィデオや数多くの音楽ドキュメンタリーを
発表しているジュリアン・テンプルが脚本監督を担当した。
5歳の時から飲酒と喫煙を始め、学生時代からはドラッグに
溺れたというシェインは、60歳の誕生日をダブリンのホール
でデップを含む数多くのミュージシャンに祝われるが、その

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04月24日(日)
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