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On the Production
by 井口健二
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■小説の神様、ミセス・ノイズィ(トキワ荘、島にて、海辺の映画館、恋する男、ジャズ喫茶、ルース・エドガー、朝が来る、タゴールS、追龍)
これに対して隣部屋の住人に関してはそれなりに描かれてい
るから、観客としては何とも居心地が悪くなる。恐らく監督
はこれで主人公に普遍性を持たせたかったのだろうが、これ
では映画としてのバランスが覚束ない。
やはり映画ではそれなりの感情移入のできるキャラクターが
欲しいものだ。それと新津ちせが何となく活かされていない
感じなのも気になった。以前の短編の時には子役が良いと書
いたが、これもキャラクターが立っていないせいかな?
いずれにしても何かもったいない感じがした。もしかすると
小説家という設定にはしない方が良かったのかもしれない。
でもまあそんなことを気にしなければ、SNSの現状など、
それなりに面白く観られる作品ではあった。
公開は5月から、東京はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロード
ショウとなる。
この週は他に
『トキワ荘の青春』
(東京都豊島区椎名町五丁目にかつて在った木造アパート。
そこには『スポーツマン金太郎』などの寺田ヒロオを中心に
手塚治虫、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫、水野英子
らが居住し、共に研鑽していた。この物語をすべて実名にて
市川準の脚本、監督で映画化した1996年の作品。登場人物も
凄いが、出演者にも寺田役の本木雅弘を始め、阿部サダヲ、
古田新太、生瀬勝久。さらにきたろう、原一男、内田春菊、
時任三郎、桃井かおりらの面々が並ぶ。この内、本木は先に
日本アカデミー賞を取っていたが、阿部は映画デビュー作、
古田は2作目、生瀬もデビュー作という公開当時の新進気鋭
のメムバーだ。僕は個人的には日本SF作家クラブ会員だっ
た手塚さんとしか面識はないが、劇作家の北村想が演じたそ
の姿はよく似ている感じがした。それに石森が「イシモリ」
と呼ばれていたのにもニヤリとしたものだ。公開は5月29日
より、東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)
『島にて』
(2017年8月6日題名紹介『夜間もやってる保育園』などの
大宮浩一監督と同作で監督補を務めた田中圭の共同監督で、
山形県酒田市から連絡船で75分、日本海に浮かぶ県内唯一の
有人離島・飛島に取材した平成最後の1年間。かつては海上
交通の要衝として交易や漁業で栄えた島だが、現状は過疎化
が進み人口140人の大半は後期高齢者という状況だ。そんな
島に9年前に移住してきた夫妻はデイサービスなどで理想の
老人介護事業を目指す。そして夫妻の3人の子供の末っ子が
中学3年になった春から卒業の冬までを軸に島での暮しが描
かれる。そこには島内の3つの神社に宮司は1人で、神社ご
とに異なる獅子舞や神楽などの神事が行われる様子や、それ
でも無くなった行事の思い出なども語られる。その一方で島
に若者を呼び戻すための事業計画など未来の展望も描かれ、
正しく離島や過疎の縮図と言える作品だ。公開は5月16日よ
り、東京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)
『海辺の映画館―キネマの玉手箱』
(2019年11月7日付「第32回東京国際映画祭」でも紹介した
大林宣彦監督作品。物語については前回紹介したのと変わり
ないので、ここではメインキャスト以外の出演者を記録して
おこう。一応登場順ということで、高橋幸宏、小林稔侍、中
野章三、ヤニック、武田鉄矢、村田雄浩、稲垣吾郎、浅野忠
信、渡辺裕之、片岡鶴太郎、南原清隆、品川徹、入江若葉、
伊藤歩、寺島咲、尾美としのり、柄本時生、蛭子能収、根岸
季衣、渡辺えり、有坂来瞳、ミッキー・カーチス、手塚眞、
犬童一心、星豪毅、金井浩人、本郷壮二郎、川上麻衣子、大
森嘉之、大場泰正、長塚圭史、満島真之介、窪塚俊介、中江
有里、白石加代子、笹野高史、犬塚弘。大林監督の遺作にな
るという話もあったから、これはもう凄い顔ぶれだが。実は
プレス資料に寄せた監督のコメントには「今日も映画作りに
励んでおります。」の一文もあり、これは…と思わせてもく
れるところだ。公開は4月10日より、全国ロードショウ。)
『恋する男』
(2018年9月紹介『BD−明智探偵事務所−』などの小木茂
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03月15日(日)
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