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On the Production
by 井口健二
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■囚われた国家、ndjc(優作について/CLUB DEJA-VU、カゾクデッサン、ポップスター、彼女は夢で、ムヒカ、白い暴、オーバー・ザ・L、悪い偶)
主人公はその手の会社に登録して婚活を始め、様々な男性が
彼女の前に現れる。しかし彼女自身は何か違うものを感じて
いた。出演は阿部純子、小島聖、鳥谷宏之、吉倉あおい、藤
田真澄。
上映後のQ&Aによると監督自身も婚活経験ありようだが、
実体験に基づいている所為か、それなりに地に足の着いた安
定の作品にはなっていた。物語の展開も悪くはないが、そこ
までかな。もう一投何か変化球が欲しい感じがした。
「Le Cerveau - セルヴォ -」
デジタルハリウッド大学推薦。1986年生まれの島田欣征監督
作品。
主人公は女手一つで必死に息子を育ててきた母親。しかし息
子が病魔に侵され、救う手立ては彼女からの生体移植に限ら
れる。そんな時に交通事故に遭ってしまった主人公が目覚め
ると、彼女の精神は別の身体に宿っていたが…。
彼女を瀕死の状態から救ったという少年科学者の制止を振り
切り、彼女の元の身体と息子のいる病室に向った主人公は、
徐々に事件の真相に近付いて行く。出演は田中沙依、藤崎絢
己、南岐佐、八田浩司、上瀧昇一郎。
CGデザイナーでもある監督はVFXも手掛けたようで、そ
れらはそれなりに観られた。ただ物語はいろいろな要素を盛
り込み過ぎて30分には収まり切れなかったかな。少年科学者
など奇を衒った設定も物語に活きていなかった。
「魚座どうし」
PFF推薦。1997年生まれの山中瑶子監督作品。
主人公は小学4年生の女子。家庭は父親が長期の海外赴任中
で、母親の心にはぽっかり穴が開いているようだ。それを埋
める術がないことも幼いながらに判っている。そして同級生
の男子の家も父親不在で…。
その男子の母親が宗教に凝っていたり、彼の姉が反抗期にな
るなど、主人公の周囲で起きる出来事が描かれる。それでも
少女は明日を信じて生きて行く。出演は根本真陽、外川燎、
山田キヌヲ、伊東沙保、カトウシンスケ。
上映後のQ&Aによると監督は10代半ばにこの物語を書き始
めたそうで、長編映画のダイジェストという感じなのかな。
全体的に物語が言い切れていない気がして、もやもやしたも
のが残った。
全体的に、今回の3作品はいずれも何か中途半端な感じで、
昨年の5作品に比べると物足りない思いがした。ただ通常の
試写で観る作品も近年そんな思いのすることが多いから、こ
れが時流なのかな。
なお例年5本程度作られてきたこのプロジェクトでは、今回
の3本は最少だが、実はこのプロジェクトの一環として別途
に長編の制作が進められたのだそうで、その作品は秋以降に
一般公開の予定とのこと。それも期待したい。
この週は他に
『優作について私が知っている二、三の事柄』
『CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOW
松田優作・メモリアル・ライブ』
(1989年11月6日に40歳で他界した松田優作。その翌年12月
3日に原田芳雄の呼び掛けにより池袋サンシャイン劇場にて
行われた追悼コンサートを写したヴィデオテープの復刻。同
コンサートを演出した崔洋一監督が再編集し、新たに制作さ
れたコンサートの出演者らへのインタヴューと共にDVD化
された。出演者の顔ぶれも見事だが、インタヴューで語る水
谷豊、桃井かおりらの発言や表情も堪らない。呼び掛け人の
原田も既に亡く、本編はプロデューサーの黒澤満が亡くなっ
てその遺品から発見されたとのこと。僕自身は同世代の人間
だから松田の偉大さは判っているし、そんな目で見ていると
残された者の無念や切なさも胸に迫ってくる。僕には1973年
『狼の紋章』の試写で松田が演じた羽黒獰を観た原作者・故
平井和正氏の感心振りも思い出された。なお本作のDVDは
2月5日に既に発売されたものだが、崔監督は劇場公開も希
望しているとのことなので、その支援のためここに記す。)
『カゾクデッサン』
(CMなどのスタジオマン出身で、2004年にnet配信の短編
を初監督したという今井文寛監督が脚本・製作も務める長編
デビュー作。ヒモ暮しをしている男の働くバーに場違いな少
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02月09日(日)
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