ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459640hit]

■スケアリー(シェイクスピアの、踊ってミタ、わたしは分断、春を告げ、21世紀の、ダンシングH、ようこそ、WAVES、霧の中の、COMPLY±ANCE)
文豪はそれまでの20年間をロンドンで故郷も顧みず働き詰め
に仕事をしており、ようやく戻った故郷での家族からの扱い
は厳しいものだった。そんな中で2人の娘との確執や夭逝し
た息子への思いなどが綴られる。監督と主演はケネス・ブラ
ナー。共演はジュディ・デンチ、イアン・マッケラン。さら
にブラナーの愛弟子のキャスリン・ワイルダー、2014年6月
紹介『アバウト・タイム』などのリディア・ウィルスンらが
脇を固めている。脚本はテレビで文豪を題材にしたコメディ
を手掛けてきたベン・エルトン。火災の話や文豪の家族構成
などは史実の通りだが、人間ドラマは虚実が巧みに組み合わ
されているようだ。公開は3月6日より、東京はBunkamura
ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)

『踊ってミタ』
(2019年6月30日題名紹介『王様になれ』などの岡山天音主
演で、東京の広告代理店でのクリエーター職に挫折し、故郷
の役場で地元PRの部署に勤めたもののロクな仕事もしてい
ない若者が、ネット動画を真似た企画を始めてみるが…。よ
くある町興し映画の「踊ってみた」版といった感じの作品。
共演は2019年12月29日題名紹介『おいしい給食』などの武田
玲奈と、岡山主演のドラマ『I"s 』でヒロインを務めた加藤
小夏。他に中村優一、ルー大柴、ふせえりらが脇を固めてい
る。脚本と監督は岡山、武田のW主演で2017年4月2日題名
紹介『ポエトリー・エンジェル』を手掛けた飯塚俊光。内容
にも今さらこれかという感じはするが、折角の町興しなのに
住民の協力がほとんど描かれないのは残念かな。それにして
もせめて町の観光スポットみたいなものはもう少し紹介して
欲しかった。公開は3月7日より、東京は新宿シネマカリテ
他で全国ロードショウ。)

『わたしは分断を許さない』
(2013年に福島を含む原発問題を扱ったドキュメンタリーを
発表後にNHKを退局した元アナウンサー堀潤が、人権闘争
で荒れる香港を始め、ガザ、シリア、福島、沖縄、朝鮮半島
などに取材したドキュメンタリー。「真実を見極めるために
は、主語を小さくする必要がある」という言葉の許に、それ
ぞれの現場で出会う個人の目線(立場)で問題の深刻さや行動
の意義が描かれて行く。そこには様々な形で「分断」が進め
られていた。と、言いたいことは理解するし、問題提起の点
では判り易い主張が行われている。しかし如何せん105分の
上映時間の中では内容が多すぎてそれぞれの問題が明確には
描かれていない感じがした。それはそれぞれの事象ごとに歴
史的な背景もある訳だし、それを掘り下げずに単に目先だけ
で描いたのでは、特に海外の問題に関しては、日本人の感覚
だけでは計り知れない部分が残った。公開は3月7日より、
東京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)

『春を告げる町』
(2017年7月9日題名紹介『ひいくんのあるく町』などに携
わった島田隆一監督が2017年―18年に福島県双葉郡広野町で
撮影したドキュメンタリー。当地にある福島県立ふたば未来
学園高等学校の演劇部の活動を中心に、震災後の復興の意味
が問い直される。そこには上の作品で言う「分断」が別の意
味で語られる面もあるし、災害から6−7年も経てばいろい
ろな変化が生じている現状も描かれる。ただしここには放射
能汚染という人間の力ではもはや取り返しのつかない問題も
ある訳だが、それでもその中で未来に向かって歩んでいこう
という意思も観ることができた。当然演劇部という集団の中
では「真実を見極める」ことは難しいが、果たして真実とは
何か、2つの作品を連続して観て考えることも多くあった。
もちろん本作の中でも農業従事者などの個人の目線はしっか
りと描かれているものだ。公開は3月21日より、東京は渋谷
ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『21世紀の資本』“Le Capital au XXIe siècle”
(フランスの経済学者トマ・ピケティが2013年に出版し、各
国語に翻訳されて全世界で300万部を超えているというベス

[5]続きを読む

01月26日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る