ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459637hit]
■AI崩壊(再考)、プロジェクト・G、ムルゲ(影裏、恐竜が教えてくれたこと、フェアウェル、星屑の町、ステップ、黒い司法、プラド美術館)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『AI崩壊』(再考)
前回の記事で「本作にはsense of wonder が物足りない」と
書いた。しかし何とも納得できなかったので、ちょうど本屋
で見掛けた本作の脚本から執筆されたというノヴェライズ本
を購入して読んでみた。
するとそこには映画で疑問に感じられた点、というか本作で
根幹となるべき点が書かれたいた。それはSFで言う「アシ
モフのロボット3原則」に匹敵するかもしれないAI開発の
新たな原則と言えるものだった。
映画で最大の疑問点は、物語の始まりの時点で何故妻の治療
が行われなかったかというところだろう。それは映画の中で
は厚労省の認可が下りなかったという説明になるが、その経
緯は明確ではない。
しかも「法を犯してでもやるべきではなかったか」という疑
問は呈されるが、それに対する明確な回答は映画ではなされ
ない。さらに「のぞみ」の原型となるAIがどこまで完成さ
れていたかも明確ではない。
大体において、映画に登場するシステムがAIかどうかにも
疑問は感じるところで、ここでは単なる情報処理装置の規模
が大きくなっただけのようだし、敢えて言うなら警察側のシ
ステムの方が学習能力のあるAIに見えてしまう。
そんな疑問への回答がノヴェライズ本ではそれなりに描かれ
ていた。それは自立したAIの育て方に関するものであり、
そんなAIが育っていたことにsense of wonder が感じられ
たものだ。
特に「のぞみ」が復活するシーンは映画のようなあやふやな
展開ではなく、ここにはしっかりとしたメッセージも込めら
れている。これは映像化したら警察側のシステムの学習シー
ンに対抗するものにもなったところだろう。
できればここには、老刑事の捜査・取り調べの経験に基づく
ダメ押しの伏線みたいなものはあっても良かったかもしれな
いが…。
とにかくこのノヴェライズ本に関してはSFとして認めるこ
とはできる。ただし後半の展開に関しては映画のシーンから
欠落しているところも多く、かなり駆け足で拙速観を否めな
いが、取り敢えずSFの根幹は維持されていた。
映画とノヴェライズ本を比較して、この本が脚本に基づいて
いるのなら、SFの部分は本の著者による付け足しなのか、
あるいは映画化での削除なのか。その辺の経緯は知りたくな
るところだった。
映画を観終わったらノヴェライズ本を読むべし。それで物語
が完結する。
公開は1月31日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国
ロードショウとなる。なお新宿ピカデリー他の一部劇場では
2月16日、17日に日本語字幕版での上映も予定されている。
『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』“無雙”
2018年11月4日付「第31回東京国際映画祭」で紹介した作品
が日本公開となり、再度試写を鑑賞した。
2011年6月紹介『シャンハイ』などのチョウ・ユンファと、
2016年7月紹介『西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人』などのアー
ロン・クォックのW主演で、贋金造りの国際犯罪組織を描い
たアクション作品。
以前の記事では「謎解きも見事」と書いたが、実は謎は解け
たもののその経緯などはあまりはっきりとは理解できていな
かった。そこで今回はその点を踏まえて観直したものだが、
正直には2年前の作品の記憶は薄れていた。
それでも映画の骨格は見えてきたもので、改めて脚本の見事
さに舌を巻く思いだった。
映画の始まりはタイの刑務所。そこに収監されていた中国人
の男性が香港警察に移送されることになる。それは数多くの
[5]続きを読む
01月19日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る