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On the Production
by 井口健二
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■JAPAN CONTENT SHOWCASE[烈火英雄、ひとくず、恋の豚、星屑の町、白蛇・縁起]+(太陽の家、デニス・ホッパー/狂気の旅路、ラストムービー)
眞三、城明男ら、錚々たるメムバーが脇を固めている。
児童虐待を受けて育った子供が粗暴性を持つというのは追跡
研究によって明らかになっていることのようだが、本作の主
人公にも多分にそのような表現が描かれている。そして幼女
の母親も愛を知らずに育った存在だ。そんな現実にも多々あ
りそうな物語が描かれる。
そして後半には少し意外な展開も用意されて映画を引っ張る
が、全体としてはそんな中にも微かかも知れないが希望が描
かれた作品で、結末はありきたりかも知れないがホッとする
気持ちで観終えられる作品だった。
因に本作は、2019年5月開催のニース国際映画祭で上西雄大
が主演男優賞と古川藍が助演女優賞を受賞。6月末に開催さ
れた熱海国際映画祭で最優秀監督賞と子役の小南希良梨が最
優秀俳優賞を受賞。
さらに8月開催のマドリード国際映画祭にて古川藍と徳竹未
夏が最優秀助演女優賞を受賞している。海外での上映題名は
“KANEMASA”。しかしながら日本公開はまだ決まっていない
ようだ。
確かに題材として観客の嗜好に沿わせるのが難しいかも知れ
ないし、僕自身も概要を読んだだけでは観るかどうか迷った
作品でもある。しかし現実を直視する意味でも観るべき作品
だし、マドリードで上映後にスタンディングオベーションが
起きたというのも頷ける作品だ。
日本公開が実現したらぜひとも応援したい。

『恋の豚』
1962年に日本で初のピンク映画を配給したという大蔵映画。
現在も「OP PICTURES」の名称で年間36作品をコンスタント
に製作している同社が、成人向ピンク映画の枠を超える目的
で2015年からR18+作品とは別にR15+のバージョンを製作して
いるプロジェクト「OP PICTURES+」の1作品。
因に本作は2018年8月25日〜9月14日に東京はテアトル新宿
で開催の「OP PICTURES+ フェス」で上映され、2019年2月
に単独劇場公開もされているそうだ。
従って本ページで扱う主旨とは異なるものだが。一応作品は
鑑賞したので物語を簡単に紹介しておくと、俗に「デブ専」
と呼ばれる肥満型のデリヘル嬢を主人公に、彼女と関係する
男性たちが描かれる。そこにピンク映画らしいベッドシーン
が何度も登場するものだ。
ただまあ物語では後半に少し捻りはあるが、特に「デブ専」
に拘るような展開があるものではなく、また取り立てて言う
ほどの男女の絡みに面白さがあるものでもないから、何とい
うか普通の作品かな。
何かもう少し主人公の体形だけでない独自性みたいなものが
欲しいという感じはしたものだ。
主演は本作で芸能界を引退したという百合華。脚本と監督は
2011年8月紹介『タナトス』などの城定秀夫。因に監督は、
ピンク映画界では名手と言われているようだ。

『星屑の町』
演劇集団「星屑の会」が1994年から公演を続けて、2016年に
第7話で完結したという舞台シリーズの映画版。
地方回りの売れないムード歌謡コーラスグループ「山田修と
ハローナイツ」を中心に、訪れた土地で起きるドタバタが涙
と笑いで綴られる。そして今回彼らが訪れたのはリーダーの
故郷の東北の田舎町。そこには兄弟も暮らしていたが…。
グループの中ではリードヴォーカルがソロ活動を目指す動き
があったり、一方、町でスナックを営む女将の娘が歌手を目
指すなど、いろいろな動きがグループの周囲で巻き起こる。
出演は、舞台キャストそのままの大平サブロー、ラサール石
井、小宮孝泰、渡辺哲、でんでん、有薗芳記のメムバーと、
菅原大吉、戸田恵子。
そして今回のヒロイン役は、2014年『海月姫』以来約6年ぶ
りの実写映画出演となるのん。また2019年7月28日題名紹介
『向こうの家』などの小日向星一。さらに相築あきこ、柄本
明らが脇を固めている。
舞台からの水谷龍二が原作と脚本を手掛け、監督は、2017年
3月12日題名紹介『トモシビ-銚子電鉄6.4kmの軌跡-』など
の杉山泰一が担当した。
なお本作は2020年春の公開が予定されているもので、今回は
マスコミ資料の配布もなかったので、公開時に再度鑑賞の機

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10月27日(日)
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