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On the Production
by 井口健二
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■その瞬間:僕は泣きたくなった、KIN(いのちのスケッチ、犬鳴村、再会の夏、最初の晩餐、ゾンビ、IT イット THE END、*東京国際映画祭)
そんな少年は立ち入り禁止の廃ビルに侵入し、電線やくず鉄
などを回収して小遣いを稼いでいたが、それは当然、窃盗を
働いていることになるもの。そして父親からはこっぴどく怒
られたりもしていた。
そして刑務所に入っていた白人の兄が帰ってきた日。少年は
その日も侵入した廃ビルで異様な体験をする。未来風な甲冑
を着て頭部の破壊された人物のそばに落ちていた黒い箱に触
ると、それが突然起動したのだ。
一方、白人の兄は良からぬ連中と揉めた末に、父親の勤務先
に強盗に入ることになるが、それは最悪の結果をもたらす。
そのため連中に追われる兄は、少年には嘘をついて一緒に逃
走を図り、そこで黒い箱が威力を発揮する。
そこにさらに別の存在も現れる。
出演は、オーディションで選ばれた長編映画初主演のマイル
ズ・トゥルイット、2017年2月12日題名紹介『フリー・ファ
イヤー』や2014年7月紹介『トランスフォーマー/ロストエ
イジ』などのジャック・レイナー。
他に、2017年5月紹介『ダイバージェント』などのゾーイ・
クラヴィッツ。さらにデニス・クエイド、ジェームズ・フラ
ンコらが脇を固めている。
監督は、オーストラリア出身で世界的ブランドのCMディレ
クターなどを務める双子のジョナサン&ジョシュ・ベイカー
兄弟による長編デビュー作。
脚本は、兄弟が2014年に発表した15分の短編“Bag Man”か
ら、本作後に『ワイルドスピード9』に抜擢されたダニエル
・ケイシーが執筆している。
最初に廃ビルで倒れていた存在は後で少年を抹殺しに来てい
たとされ、少年は未来の命運を担うとも説明されるもので、
これは『ターミネーター』のジョン・コナーのような立場の
ようだ。
ただし少年の手の甲に浮き出る紋章の意味や、また少年自身
が未来から来たのかどうかなどは曖昧で、この辺は続編狙い
なのかな。黒い箱の威力は強烈なものだし映像も見事だが、
アクションとSFのバランスが少し違う感じもした。
でもまあSF映画の未来を担うかもしれない新たな才能が登
場してきたことは確かなようだ。
公開は11月29日より、東京は新宿バルト9他にて全国順次ロ
ードショウとなる。
この週は他に
『いのちスケッチ』
(動物福祉に特化した動物園として世界的に知られる福岡県
大牟田市動物園を舞台に、漫画家を目指し上京したが挫折し
故郷に戻った青年が、自らの画才に新たな活路を見出す話。
そこにアメリカ帰りの女性獣医師などが絡む。出演は2018年
10月7日題名紹介『家族のはなし』などの佐藤寛太、2017年
3月26日題名紹介『猫忍』などの藤本泉。他に風間トオル、
高杢禎彦、浅田美代子、渡辺美佐子、武田鉄矢らが脇を固め
ている。脚本は2018年1月21日題名紹介『神さまの轍』など
の作道雄。監督は2018年『恋のしずく』などの瀬木直貴。漫
画家でも漫才師でも何でもいいのだけれど、上京したものの
目標を見失って挫折・帰郷した若者が、地元で特技を活かし
て再起する。そんな話ってどんだけあるだろう。そんな中で
本作には「延命動物園」という格好の題材があるのだが…。
延命の実践などもっと現実の情報が欲しかった。公開は11月
8日から福岡県先行、15日より全国ロードショウ。)
『犬鳴村』
(2017年4月紹介『こどもつかい』などの清水崇監督による
ホラー作品。地図にない村を巡って、都市伝説やPOVなど
様々な要素が交錯する。出演は2013年2月紹介『旅立ちの島
唄〜十五の春〜』などの三吉彩花。他に坂東龍汰、古川毅、
宮野陽名、大谷凜香。さらに寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、
高島礼子、奥菜恵らが脇を固めている。内容としては社会的
な問題が描かれているし、その怨讐みたいなものも描かれて
はいるが、全体的にはその恨みが曖昧かな。脚本は清水監督
の原案から盟友保坂大輔との共作だが、タイムパラドックス
のようなSF的解釈が前面に出ているのも、ホラーを見たい
気分に反したかもしれない。ホラー映画というのは基本コケ
脅かしでいいと思うが、『リング』がSF的な解釈に進むの
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09月29日(日)
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