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On the Production
by 井口健二
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■地獄少女(少女は夜明、空中茶室、マイ・フーリッシュ、女殺油、ゴッホと、隠れビッチ、小さい魔女、虚空門、爆裂魔神、銀河英2、解放区)
たちには違うのだろう。だからイランで発表されても問題が
ない(?)。そんな状況を考えても恐ろしくなった。とは言う
ものの、取材は相当の期間行われているようだが、その時間
軸が不自然に操作されていて、例えば祖母の迎えが来るかど
うかの少女の話は時間の流れが変に感じられた。少女たちの
思いを強調したいがためだろうが…。公開は11月2日より、
東京は岩波ホール他で全国順次ロードショウ。)

『空中茶室を夢見た男』
(2018年2月25日題名紹介『熊野から』などの田中千世子監
督が、本作では江戸初期に建てられたとされる茶室に迫る歴
史ドキュメンタリー。武家茶道の始祖・小堀遠州と、弁当に
その名を遺す僧・松花堂昭乗。江戸初期に幕府と朝廷の間を
取り持ち、以降2世紀半以上に及ぶ太平の世の基礎を築いた
ともされる2人が、京都の南西方に位置する石清水八幡宮に
作り上げた茶室・閑空軒。それは近年の遺構調査によって、
正に空中に設えられたものであったことが判明する。その模
様が『熊野から』と同様の旅人と称する案内人と共に、研究
者らの学術的な説明を交えて語られる。空中茶室と言えば、
2014年公開『父は家元』を思い出すが、同作にも出演した遠
州茶道宗家家元が語る遠州と昭乗の交流の様子など、そこに
は往時の政治の流れなども併せて、これぞ歴史ロマンという
構成にもなっている。公開は10月、東京は渋谷のシアター・
イメージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)

『マイ・フーリッシュ・ハート』“My Foolish Heart”
(1988年にアムステルダムで客死したジャズマン、チェット
・ベイカーの最期を、オランダのロルフ・バン・アイク監督
が、2016年6月紹介『とうもろこしの島』の脚本家ルロフ・
ジャン・ミンボーと共に描いた作品。彼の晩年に関しては、
2016年8月21日題名紹介『ブルーに生まれついて』もあった
が、麻薬依存症の中での悲惨なものであったことは間違いな
い。しかし死者に鞭打つことは躊躇われるのか、本作でもそ
の焦点はぼかされる。しかも本作では、窓に人影があるとい
う謎から始まるのだが、その謎解きが何とも不可解に置かれ
てしまう。いやはや正直に言ってその意味は全く理解できな
かった。本作では最初にフィクションと明言されるし、描く
ことの主旨がそこにないことも理解はするが、それにしても
この結末の意味は問い質したくなった。まあ全体の雰囲気が
あれば良いという作品ではあるが…。公開は11月8日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『シネマ歌舞伎・女殺油地獄』
(2011年6月紹介作と同じ演目を、前回は片岡仁左衛門が演
じた主役に、松本幸四郎が十代目の襲名記念として挑んだ作
品。喧嘩に明け暮れる油屋の放蕩息子が武家に粗相をしたこ
とから死罪を逃れるために勘当となり、借金の末に金の無心
に同業者の女房の許を訪れる。しかしそこには息子が来たら
渡してくれと金を預ける両親の姿があった。その様子を物陰
から見ていた息子だったが…。何とも酷い話だが、物語は江
戸時代に起きた実話に基づくそうで、そこからの近松門左衛
門の作による舞台が連綿と演じ続けられ、さらに今回はその
役では当代一とされた仁左衛門から幸四郎に引き継がれる。
これも歴史と感じさせてくれる作品だ。共演は市川猿之助。
他に中村歌六、中村又五郎、中村鴈治郎、市川中車らが脇を
固めている。なお舞台の監修は片岡仁左衛門が務めている。
公開は11月8日より、シネマ歌舞伎第34弾として東京は築地
東劇他で全国ロードショウ。)

『ゴッホとヘレーネの森
           クレラー・ミュラー美術館の至宝』
         “Van Gogh: Tra il grano e il cielo”
(世界随一のフィンセント・ファン・ゴッホ作品の個人コレ
クターであるオランダの富豪ヘレーネ・クレラー・ミュラー
夫人が1938年に開館した美術館を主な舞台に、オランダ出身
の画家について紹介するドキュメンタリー。画家については
2019年8月4日題名紹介『永遠の門 ゴッホの見た未來』も

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09月01日(日)
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