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On the Production
by 井口健二
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■超・少年探偵団NEO、キューブリック、かぞくあわせ、夏少女(風水師、エンテベ、アダムズ、ブラインド、向こうの家、駅までの道、レディM)
18歳でロンドンに渡り、タクシー運転手として働いていた時
に「あるもの」をスタジオに運ぶ仕事を引き受ける。
そして仕事ぶりを監督に気に入られた彼は、以降の30年間を
監督の個人運転手として監督の公私に付き合うことになる。
そして一度は引退して高齢の親の面倒を見るためにイタリア
に帰国するが…。
1本目の監督はデビュー作はホラーというトニー・ジエラ。
当初は『シャイニング』のドキュメンタリーを製作していた
が、ヴィターリの健康が優れないことを考慮して本作の製作
を早めたとのことだ。
そしてこの作品には、『バリー・リンドン』の主演者ライア
ン・オニールをはじめ、『シャイニング』の少年役ダニー・
ロイド。さらにマシュー・モディーンら多彩な証言者も登場
する。
2本目の監督はイタリア人のアレックス・インファセッリ。
本作にはダレッサンドロが受けた様々な支援や、彼が所蔵し
ていた当時の小道具や備品なども登場して、プライヴェート
の側面が見事に描かれている。
実は両作が描いている期間はほぼ重なっているはずのものだ
が、不思議なことにお互いへの言及が全く紹介されない。そ
れこそ夜中に呼び出されたりとか、監督が公私の区別を厳格
に付けていたとは到底思えないのだが…。
そんな謎も含めて、没後20年を迎えた監督の魅力が見事に描
き尽くされた感じのする作品だ。しかも本来は別々に製作さ
れたこの2作品が、日本では同時公開されることにも喜びを
感じさせてくれる。
なおこの監督に関するドキュメンタリーで気になるのは名前
の発音だが、1本目のヴィターリは明らかに「キューブリッ
ク」と呼んでいる。これに対して他の証言者の発音はどちら
かと言うと「クーブリック」に聞こえる。
アメリカ式、イギリス式ということでもないようで、これは
あまり気にしない方が良いようだ。
公開は11月1日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町他で全国順次ロードショウとなる。
『かぞくあわせ』
2018年4月22日題名紹介『カメラを止めるな!』で監督の妻
を演じたしゅはまはるみと、2019年6月23日題名紹介『イソ
ップの思うツボ』に出演の藤田健彦が主役共演する3話から
なるオムニバス作品。
舞台は3話とも神奈川県逗子市にあるリゾート結婚式場。そ
の場所で3者3様の物語が展開される。
「左腕サイケデリック」
第1話の始まりはチャペルへの新婦の入場。ところが新婦が
式場から逃亡。新婦の両親と新郎は見つかったらすぐに式が
挙げられるようチャペルに待機していたが…。そこに飛んで
もない事態が巻き起こる。
「最高のパートナー」
人には誕生の時からアンドロイドのパートナーがいて、その
助言に従って生活が送られている世界のお話。1組の男女が
出会い、パートナーの助けで交際が進んで行くが…。いつし
かアンドロイドにも感情が芽生えていた。
「はなればなれになる前に」
別居状態が続いていた夫婦が離婚を決めるが、娘は納得せず
に自立の道を模索している。そんな夫婦は離婚式を挙行しよ
うとし、夫婦と娘は駅で待ち合わせて夫の前妻との間の娘が
働く結婚式場にやってくるが…。
脚本と監督は、第1話がブライダルヴィデオの製作会社を運
営する長谷川朋史、第2話は短編映画で数多くの受賞に輝き
2018年長編デビューしている大橋隆行、第3話はメイキング
ヴィデオを手掛け2017年に長編デビューの田口敬太。
撮影は各話1日ずつ合計72時間で行われたとのことで、撮り
慣れている場所ではあるのだろうが、かなり効率よく製作さ
れた作品のようだ。
物語はそれぞれが家族の在り方のようなものを描いている…
のだが、実は第1話と第2話は明らかなSFで、予想しない
で観ていた僕はその感覚には少し驚かされた。SFがこんな
風に描かれることにも衝撃を受けたものだ。
ただし第3話もちょっと不思議なシチュエーションを描いて
はいるのだが、ここには少し落差があったかな。監督たちは
尋常でないシチュエーションとして括りたいのだろうが、僕
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07月28日(日)
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