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On the Production
by 井口健二
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■T-34 レジェンド、ホテル・ムンバイ(ラブゴーゴー、SHADOW影武者、ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ、アルツハイマーと、ジョン・ウィック3)
『ホテル・ムンバイ』“Hotel Mumbai”
インドの経済や文化の中心地であり、人口統計などで最大の
都市とされるムンバイで2008年に発生したイスラム武装勢力
による無差別テロ事件。その中で起きた実話の映画化。
舞台は海辺に建つ1903年創業の五つ星ホテル。ムンバイ市中
で同時多発テロが発生し、多くの人々が安全と思われるその
ホテルに逃げ込んでくる。しかしその中にテロリストも紛れ
込んでいた。そしてロビーの隅で機関銃を取り出したテロリ
ストたちは無差別の殺戮を開始する。
その時のホテル内には宿泊客やスタッフなど500人を超える
人々がおり、テロリストたちは外部の情報の伝わっていない
客室にはルームサーヴィスを装ってドアを開けさせ、宿泊客
を次々に殺害して行く。それは各階ごとに組織的に行う正し
くジェノサイドだった。
そんな中で100人を超える客が上階に設けられたチェンバー
に隠れるが…。
出演は、本作の製作総指揮も務めた2017年2月26日題名紹介
『LION ライオン 25年目のただいま』などのデヴ・パテル。
他に、2018年1月28日題名紹介『君の名前で僕を呼んで』な
どのアーミー・ハマー。『ハリー・ポッター』シリーズなど
のジェイスン・アイザック。
さらにインド出身で2017年2月紹介『パッセンジャー』など
のナザニン・ボニアディ。同じく2012年12月紹介『世界にひ
とつのプレイブック』などのアヌバム・カー。オーストラリ
ア出身で監督としてベルリン国際映画祭での受賞歴もあるテ
ィルダ・コブハム・ハーヴェイらが脇を固めている。
脚本と監督はオーストラリア出身で、多くの短編作品で評価
されて本作が長編デビューのアンソニー・マラス。同じく脚
本と製作総指揮に、2006年11月紹介『ハッピーフィート』や
2004年1月紹介『マスター・アンド・コマンダー』を手掛け
たジョン・コリーが加わっている。
ホテルが武装勢力に襲われるという話では、2005年11月紹介
『ホテル・ルワンダ』も思い出したが、部族間抗争の戦闘と
イスラム過激派による無差別テロとでは明らかに様相が異な
る。特に個別の部屋を巡りながら確実に殺戮を繰り広げると
いう展開には正にテロの恐怖を味わう感覚だった。
しかしそんな状況の中でのホテルマンの対応に関してはどち
らにも共通した使命感が描かれたもので、これは時代の変化
にも不変のことなのかと思わされた。とは言え無差別テロに
対する恐怖に関しては、なまじのホラー映画を上回る恐怖感
が味わえる作品だった。
公開は9月25日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『ラブゴーゴー』“愛情来了/Love Go Go”
(前々回に題名紹介『熱帯魚』のチェン・ユーシュン監督が
1997年に発表した長編第2作。台北市を舞台に初恋の女性に
小学校以来の再会をしたパン職人と、拾ったポケベルのメッ
セージにまだ見ぬ恋を妄想する太目の女性。成績の上がらな
い痴漢撃退具のセールスマンなどが、それぞれの恋を描いて
行く。前作は誘拐事件というそれなりのテーマがあったが、
本作はオムニバス的な展開で、それは公開当時にはそれなり
の新鮮味もあったはずだが、今となっては…という感じは否
めない。でもプレス資料には若いタレントさんの賛辞コメン
トも寄せられていて、今の人にはこれも新鮮に映るのかな。
その意味では青春は不変という感じもする作品だ。ただどの
エピソードもちゃんとした結末には至っておらず、それも良
いという感覚は理解するが、納得のできる結末も欲しいとは
思ってしまった。公開は8月17日より、『熱帯魚』と同時に
東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『SHADOW影武者』“影”
(2011年5月紹介『サンザシの樹の下で』などの名匠チャン
・イーモウ監督が2017年2月紹介『グレート・ウォール』に
続けて放つ武侠作品。前作はハリウッド資本でVFXが満載
だったが、本作には2004年7月紹介『LOVERS』などの
スタッフが再結集して、CGIなどを極力排した絵作りが行

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07月21日(日)
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