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On the Production
by 井口健二
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■見えない目撃者(セカイイチオイシイ、聖なる泉の少女、人間失格、典座、カーマインSTギター、HiGH&LOW THE WORST、サウナ、サタンタンゴ)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『見えない目撃者』
2016年2月に紹介した同名中国作品の日本版。その紹介にも
書いたが本作には2011年製作の韓国映画があり、韓国版、中
国版はいずれもアン・サンフン監督によるもの。今回は初め
て別の監督(2008年12月紹介『重力ピエロ』などの森淳一)が
手掛けた。
主人公は盲目の元婦人警官。失明の原因は自損事故で、その
際に弟も失ったことがトラウマになっている。そんな彼女が
交通事故の音を聞く。そして現場に行った彼女は、後部座席
の窓を叩く音と助けを求める声を耳にするが…。
車から降りてきた運転者に押し留められ、かすかにアルコー
ルの匂いのした運転者と車は走り去ってしまう。そこで警察
に通報した彼女だったが、彼女が聞き取った名前の行方不明
者はなく、警察は事件としては取り上げてくれない。
そんな中で事故の被害者の若者が見つかり、警察で状況を証
言するが、その内容は彼女の証言と食い違うものだった。こ
うして事件は闇に消えようとする。だがその裏には恐るべき
連続殺人が隠されていた。
出演は、2018年8月26日題名紹介『音量を上げろタコ!』な
どの吉岡里帆、2019年2月題名紹介『笑顔の向こうに』など
の高杉真宙。他に大倉孝二、田口トモロヲ、渡辺大知、柳俊
太郎、松田美由紀、國村隼らが脇を固めている。
オリジナルの物語では、主人公自身が誘拐未遂の被害者で、
それが盲目で元婦警という辺りにかなり無理というか違和感
があった。しかし本作の発端は元婦警の勘が働くという展開
で、その他の点も含めこの改変は納得できた。
監督との共同脚本には、2012年6月紹介『るろうに剣心』な
どの藤井清美が参加している。女性脚本家は2016年10月2日
題名紹介『ミュージアム』にも協力しており、今回の作品の
レーティングはR15+指定となっているものだ。
これはかなりきつい映像表現が行われていることも意味して
いる。しかし物語的には、本作はオリジナルの2作より明確
だし、巧みに構成されている。その点で完成度はオリジナル
を上回っていると言える。
ただし韓国版、中国版のいずれもがかなりリアルでドロドロ
した感覚だったのに対して、本作はリアルというよりクリア
な感じで、何処か安心して観ていられるような安定感があっ
た。これは監督の特性なのかな?
実際にはオリジナルの持つ曖昧さを払拭した分、本作ではも
やもや感がなくなり、それが多少の物足りなさを生んでいる
可能性はある。その良し悪しは観客の取り方だが、僕には何
か荒々しさみたいなものが薄まっている感じもした。
とは言え映像はR15+指定なものだが、それでも最後にかすか
な希望のようなものが見えるのは、これが今の日本映画とい
う感じもする。本作だけを観れば、これはもう間違いなしの
完成度の高い作品と言えるのだが…。
公開は9月20日より、全国ロードショウとなる。
因に韓国版の題名はハングル表記の『ブラインド』で、中国
版では邦題は本作と同じだが、原題は『我是証人』だった。
しかし今回も採用された邦題では「見えない」という記述が
Blindなのか、Invisibleなのか判り難い。
これは日本語の面白さでもあるが、ちょっと気になったとこ
ろだ。
この週は他に
『セカイイチオイシイ水 マロンパティの涙』
(フィリピンの離島で島民の健康を守る水道建設に携わる日
本人の活動を描いた実話に基づく作品。首都マニラから南に
300q離れたパナイ島。その島のパンダン村の飲料水は井戸
水で掘削は何度も行われたが、掘った井戸には程なく海水が
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07月14日(日)
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