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On the Production
by 井口健二
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■すじぼり、アス(おいしい家族、イソップの思うツボ、タロウのバカ、ジョアン・ジルベルトを探して、フリーソロ、隣の影)
・クェストというアトラクションに入ってしまう。そして鏡
の迷路で自分にそっくりの少女に出会う。
それから数10年後の現在。2人の子供の母親になった主人公
は夫も含めた4人で昔住んでいた家に戻ってくる。ところが
隣人と共に向ったビーチで一家の息子が一瞬だけ行方不明に
なり、彼女の脳裏に昔の恐怖が甦り始める。
そんな主人公の不安をよそに、夫は屈託なくボートを購入す
るなどはしゃいでいたが…。その夜、赤い繋ぎを着た夫婦と
子供と思われる4人の男女が家の前に現れ、彼らは不法に家
に侵入し、一家に襲い掛かってくる。
出演は、2013年『それでも夜は明ける』でデビュー作ながら
オスカー助演女優賞に輝いたルピタ・ニョンゴ。ニョンゴと
共に2018年2月25日題名紹介『ブラックパンサー』に出てい
たウィンストン・デューク。
さらに2016年5月紹介『ハイ・ライズ』などのエリザベス・
モス、主にテレビ界で脚本家としても活躍するティム・ハイ
デッカー。広告モデル出身でブロードウェイでも活躍のシャ
ハディ・ライト・ジョセフ、「セサミストリート」出身のエ
ヴァン・アレックスらが脇を固めている。
物語の始まりには、レイ・ブラッドベリや「トゥワイライト
ゾーン」の趣もあって、そこから2008年9月紹介『ファニー
・ゲーム』のような展開になって行く。さらに劇中では『ホ
ーム・アローン』なども言及されて、いろいろとオマージュ
も多彩な作品だ。
因に監督が好きな作品の中には、2002年2月紹介『自殺サー
クル』も含まれているそうで、そのオマージュはなるほどと
思わせるものになっていた。
しかも元がお笑い芸人のピール監督は、ここに笑いの要素も
巧みに織り込んで、ホラーとしても一級品+エンターテイン
メントとしても上質な作品に仕上げている。最近は日本の芸
人が脚本や監督を手掛けた作品も散見するが、これくらいの
メリハリは利かせて欲しいと思ったものだ。
前作はかなりストレートに人種問題を扱ったが、本作では人
種を超えた社会問題を描いており、また映画の後半にはSF
としても注目できる展開もあり、さらに原題の“US”が表す
意味など、なかなか奥深い作品だ。
公開は9月6日より、全国ロードショウとなる。
この週は他に
『おいしい家族』
(2019年2月紹介『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト』
の2015年度に選出されたふくだももこ監督が、その際の選出
作で30分のオリジナルを長編化した作品。結婚生活に破局し
た女性が母親の三回忌で実家に帰ると、そこでは母の服を着
た父親が家事をしていた。しかも学校長でもある父親は、そ
の姿で校門に立ち生徒を出迎える。それが周囲にも受け入れ
られている様子に驚く主人公に、さらに父親が子持ちの男性
を夫に迎えると言い出す。出演は2018年5月紹介『世界でい
ちばん長い写真』などの松本穂香。オリジナルにも出演の板
尾創路。他に浜野謙太、笠松将、モトーラ世理奈らが脇を固
めている。板尾はオリジナルに惚れ込み長編化にも出演する
と約束していたそうで、それほどの才能が見出せる作品だ。
また監督は伊丹十三が目標だそうで、そのため音楽には本多
俊之を希望。本多もその意気に応えている。公開は9月20日
より、全国ロードショウ。)
『イソップの思うツボ』
(2018年4月22日題名紹介『カメラを止めるな!』が社会現
象と言われるまでになった上田慎一郎監督の新作。本作では
前作で助監督を務めた中泉裕矢とスチール担当の浅沼直也と
の共同脚本/監督になっている。物語は冴えない女子大生の
主人公を中心に、彼女の同級生でタレント一家の娘、それに
復讐代行屋と称する殺し屋の親子が絡まり、かなり手の込ん
だお話が展開される。それは何を書いてもネタバレになって
しまうような巧みな作品だ。出演は、2018年「第2回未完成
映画予告編大賞」グランプリ作品『猿楽町で会いましょう』
に主演の石川瑠華、2019年2月17日題名紹介『4月の君、ス
ピカ。』などの井桁弘恵、2017年11月5日付「東京国際映画
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06月23日(日)
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